「一人暮らしの身としては、高いお金を出してビタミンを買うのは負担ですよね。ダイソーで3000ウォン(約306円)のビタミンが発売されたときは、内心うれしかったのに、すぐに撤収するなんて正直残念です」
【注目】日本不買運動にも負けず、売上4兆ウォンに迫った韓国ダイソー
会社員のキムさん(26)は、韓国ダイソーで販売されていたビタミンやルテインなどの健康機能食品が販売中止になるというニュースに残念な気持ちを表した。
韓国ダイソーの健康食品は、薬局よりも最大で10分の1の価格で購入できるというメリットがあり、発売前から消費者の関心を集めていた。発売後も、店舗の開店と同時に駆け込んで購入する「オープンラン」が起こるほどの人気を博していた。
しかし、韓国ダイソーに健康機能食品を供給していた製薬会社が、突如撤退を決定した。発売からわずか5日後のことだった。
一部からは、「ダイソーに健康機能食品を納品したらボイコットする」と圧力をかけた「強者」である薬局側に対し、「弱者」である製薬会社が屈したのではないかとの指摘が出ている。
韓国ダイソーを運営するアソンダイソーは、2月24日から全国約200店舗で、大熊(デウン)製薬や一洋(イルヤン)薬品の健康機能食品30種類を販売していた。
総合ビタミン剤をはじめ、骨・関節機能を助けるカルシウム剤、ルテインを含む目の栄養補助食品、体重管理に役立つガルシニア、血流改善のためのオメガ3など、様々な種類のサプリメントが並んでいた。
価格も魅力的だった。健康機能食品は3000ウォンと5000ウォン(約510円)の2種類の均一価格で設定されていた。もちろん成分の違いはあるものの、薬局では通常2万5000ウォン~3万ウォン程度で販売されている。つまり、韓国ダイソーでは薬局よりも最大10分の1の価格で健康機能食品を購入できるのだ。
この「コスパの良い健康食品」は消費者の間で人気を集めた。「楽しみながら健康を管理しよう」という「ヘルシープレジャー(Healthy Pleasure)」のトレンドが広がったことも影響を与えた。
製薬業界関係者は『時事ジャーナル』との電話取材で、「健康機能食品が発売されるや否や、ほとんどの店舗で在庫がすぐに売り切れるほどの人気だった」と語った。
しかし、好調だった韓国ダイソーの健康機能食品が撤退を決めたのは、薬剤師たちの強い反発があったためだ。
大韓薬剤師会は2月28日に声明を発表し、「有名製薬会社が薬局よりも安い価格で生活用品店に供給するようなマーケティングを展開していることを強く糾弾する」と批判した。
また、クォン・ヨンヒ大韓薬剤師会会長当選者は、韓国ダイソーに健康食品を供給する一洋薬品や大熊製薬の関係者と面会し、改善を求めた。
薬剤師会との面会直後、製薬会社はすぐに韓国ダイソーから撤退した。今回の件に対する報復として、薬剤師たちが「ボイコット」に乗り出す可能性を恐れたためだ。一部の薬剤師は、韓国ダイソーに納品した製薬会社の一般用医薬品をすべて返品するとまで主張しているという。
業界関係者は「一般用医薬品を販売できるチャネルは薬局しかないのに、その販売を拒否されたら大きな打撃を受けざるを得ない」と嘆いた。一洋薬品の関係者は「特にコメントすることはない」と言葉を濁した。
健康機能食品は主にオンラインで流通しており、薬局が占める割合は大きくない。韓国健康機能食品協会によると、健康機能食品市場の規模は約6兆ウォン(約6124億円)に達するが、薬局のシェアは3~4%にとどまる。
それにもかかわらず、薬剤師会が強く反発したのは、残された市場シェアすら奪われる可能性があるという不安が背景にあると、製薬業界は見ている。
薬剤師たちは製薬会社に「裏切られた」という立場を取っている。
一方には安価に供給し、もう一方には高値で供給すれば、「薬局が不当な利益を得ている」という印象を与えかねないからだ。
大韓薬剤師会のチェ・ホンス対外協力室長は電話取材で、「ある製薬会社がダイソーに健康機能食品を供給する際、『高品質で合理的な価格』とうたっていた。これを見た大衆は、これまで薬局が不合理な価格で販売していたと誤解するのではないか」と指摘した。
さらに、「製薬会社と薬局は長年にわたりパートナーシップを築いてきたが、まるで信頼していた相手に裏切られたような気分だ」と語った。
薬局と製薬会社の間の「力関係」が今回の撤退に影響を与えたのではないかとの質問には、「(力関係が)まったくないとは言えない」としつつも、「医薬分業(診察と処方は医師、薬の調剤は薬剤師が担当する制度)以降、状況は大きく変わった。昔の状況と今を単純比較することはできない」と述べた。
そして「ダイソーで購入した健康機能食品を持ち込んで『これは飲んでも大丈夫か』と薬剤師に尋ねる人も多かった」とし、「大衆からの批判はそのまま受け止めなければならず、説明もしなければならないことに対する不満が積み重なった」と語った。
(記事提供=時事ジャーナル)
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