カンボジアに拠点を置く詐欺犯罪組織の摘発・検挙のニュースが相次ぐなかでも、韓国の若者たちが「高収入の就職オファー」に騙されて東南アジアへ渡航する事例が後を絶たない。
国家情報院は最近、報道資料を通じて、最近カンボジアで救出された韓国人男性A氏(25)の就職詐欺および人身売買被害の事例を公開し、市民に対して特段の注意を呼びかけた。
A氏は就職詐欺に遭ってカンボジア・モンドルキリ州の詐欺拠点に監禁されていたが、昨年12月になってようやく救出された。
救出されたA氏の供述などを総合すると、昨年10月末ごろ、同氏はテレグラムで知り合った身元不明の人物から「ベトナムにあるホテルに2週間ほど滞在すれば現金2000ドルを支払う」という就職オファーを騙され、ベトナム・ホーチミンへ出国した。
ベトナムでA氏を待っていたのは犯罪組織だった。ベトナムに到着するやいなやA氏はパスポートと携帯電話を奪われ、その後、複数の犯罪組織に売り渡されながら、ベトナムとカンボジアを転々とした。
A氏は抵抗したが、「不法越境した事実が知られれば現地警察に逮捕される」という脅迫を受けて監禁生活を続けることになり、最終的にベトナム国境付近にあるカンボジア・モンドルキリ州の詐欺組織に売り渡された。
A氏が監禁されていたモンドルキリ州の詐欺拠点は、ベトナム国境近くの僻地で、周辺には一般住宅や商店すら存在しない密林地帯に位置している。他人の助けなしには脱出が不可能な場所だ。
そこでA氏は「6カ月間きちんと働けば家に帰してやる」と言われ、犯罪に加担することを強要された。特にA氏は、「詐欺拠点にいた韓国人の一人が、成績が悪いという理由でスタンガンや棒で殴られるのを目撃し、心理的な圧迫が非常に大きかった」と供述している。
当局は、韓国国内にいたA氏の母親からの通報を受けて捜査に着手した。母親B氏は、監禁されていた息子と切迫した通話を交わすこともあったが、国家情報院は若者たちがさらなる犯罪に巻き込まれることを防ぐため、当事者の同意を得て、実際の通話録音の一部を公開した。
通話内容によると、B氏が息子A氏に「あなた、どこにいるの?ベトナムなの?」と尋ねると、A氏は「いや、それは言えなくてごめん。失踪届は出した?」と逆に問い返す。B氏が出したと答えると、A氏は「ここで少し仕事をしないといけないみたいだ。6カ月くらい。僕が無事だってことを確認して、もう心配しないでほしくて(電話した)」と言いながら、感情が高ぶったのか、声を詰まらせて泣きそうになる。
通話録音には、詐欺組織員が「失踪届はそのまま維持して、警察から連絡が来たら『息子と連絡が取れていない』程度にだけ話すように」と指示する声も含まれている。当局はA氏を救出する過程で、韓国人の組織員26人も検挙した。
国家情報院と警察は昨年11月10日、就職詐欺をはじめとする国際犯罪への対応のため、カンボジア警察と「コリア専担班」を構成し、現地の詐欺拠点を集中的に取り締まっており、現在までに韓国人3人を救出し、詐欺加担者157人を検挙している。
(記事提供=時事ジャーナル)
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