4月25日に行われたJTBC主催の「第4回大統領選候補討論会」で、支持率トップを快走している文在寅（ムン・ジェイン／共に民主党）が「同性愛の合法化に反対」と発言し、波紋を呼んでいる。
自由韓国党のホン・ジュンピョ候補から「軍隊内の同性愛は国防戦力を弱化させることに対してどう思うのか」と聞かれた文在寅候補は、「その通りだ」と回答。「同性愛に反対するという意味なのか」と改めて聞かれると、以下のように断言した。
「私は（同性愛が）好きではない。差別には反対だが、同性婚を合法化するつもりもない」
文在寅候補の発言に対し、一部の支持者やLGBT団体からは「韓国のオバマになれる人だと思ったのに、実はトランプだったか」「人権派弁護士出身とは思えない失言」といった失望の声が相次いだ。支持率の低下が予想されたのは言うまでもない。
ところが、文在寅候補は相変わらず支持率トップを走っているうえに、ライバルのアン・チョルス候補（国民の党）との差をますます広げている。世論調査機関CBSが4月27日に発表したデータによると、文在寅候補は44.4％、アン・チョルス候補が22.8％で、ほぼダブルスコアだった。
この意外とも言える状況の裏に、実は“見えない力”が働いたのかもしれない。
例えば、韓国で強い影響力を持つ「キリスト教」だ。
2015年の統計によると、韓国のキリスト教信者は967万6000人で、人口の約20％を占めている。それだけに政治を左右するほどの強い影響力も持っているキリスト教なのだが、彼らが全面的に否定・批判し続けている問題が、同性愛なのだ。
もし、文在寅候補が同性愛に賛成し、同性婚を合法化すると答えていたなら、それこそ激しい批判にさらされ、支持率がガタ落ちしたことだろう。実際に、同性愛者に友好的なソウル市長のパク・ウォンスンは、多くのキリスト教信者に叩かれ続けている。
「同性愛の合法化に反対し、差別にも反対する」といった文在寅候補の発言は、今の韓国において政治家が出せる最善の答えだったと言っても過言ではないかもしれない。
それにしても、同性愛の他にも女性嫌悪や人衆差別など、解決すべき社会問題が尽きない韓国。次期大統領の激務ぶりが目に見えるようだ。
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