観光名所をめぐるのは旅行の醍醐味といえる。場所によっては、国を挙げて外国人観光客の誘致に力を注ぐほどだ。
しかし、かつての観光名所も、人がいなくなれば衰退していく。
韓国では政府が全国主要観光地を国際的な観光拠点地域として育成しようと、1993年の観光振興法によって「観光特区」を設け、30年でその数は34カ所にまで増えた。
観光特区では、外国人観光客が年間10万人以上、観光案内や公共便益施設、基盤施設(宿泊)などの条件を満たさなければならないのだが、その大多数が基準以下ということが明らかになった。
韓国の大手新聞『東亜日報』が34カ所の観光特区を対象に、過去3年間の外国人観光客の訪問数を調査した結果、なんと26カ所は外国人観光客の統計を把握することができなかった。
さらに、なんとか集計できた8カ所のうち、6カ所が基準以下ということが判明したのだ。
韓国政府は毎年、観光特区に莫大な予算を準備し、累計600億ウォン(65億5000万円)の予算が全国の観光特区に投入されていた。それだけ莫大な予算が投下されながらも、そのほとんどが外国人観光客の誘致に失敗しているということだ。
つまり、莫大な無駄金が使われていたことがハッキリした。
現状、観光特区に関する評価は各自治体で毎年行われ、文化体育観光部でも3年に一度実施しており、「優秀」「普通」「不十分」「不振」の評価を下している。「不振」となれば、指定解除の可能性もあるが、自治体によるセルフ評価では、ほとんどの場所が「普通」評価が下されていて、勧告以外の指定解除が簡単にはできないのが現状だ。
こうした事実を受け、韓国内では「援助が前提の観光特区なんかなくてもいい」「行政に指定されて観光客を待つのではなく、自ら誘致する努力をしろ」「無駄金だ。全面解除が望ましい」など、辛辣な意見が目立った。
かつては栄華を誇った観光地でも、人がいなくなればゴーストタウンと化す。栄枯盛衰は世の常だが、まずは自治体自身が努力を怠ってはならない。
■日本に一番来ているが、一番お金は使わない…韓国人観光客にとっての「日本旅行」とは
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