12月14日の国会で「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案」が可決され、尹大統領の運命は憲法裁判所に委ねられることになった。
韓国政界の関心は、憲法裁判所の判決時期に集中している。
尹大統領の弾劾判決と、次期大統領候補の最有力で最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表の「公職選挙法違反」2審・3審の判決時期がどのように絡み合い、司法府がどのような判断を下すかによって、現政権と次期権力の運命が大きく変わる可能性がある。
国会が尹大統領の弾劾案を可決したことで、国会法制司法委員長名義で憲法裁判所および大統領室に「国会弾劾訴追議決書」が送付される予定だ。
この議決書が受理されると憲法裁判所は即座に弾劾審判を開始し、尹大統領は弾劾審判が終了するまで憲法で規定された大統領の権限を行使できなくなる。
尹大統領に対する憲法裁判所の判断は、6カ月以内に下される見通しだ。憲法裁判所法第38条では、事件受理後、180日以内に判決を下すことが規定されている。しかし「国家の混乱」や「政治的空白」などを考慮し、迅速な審理が行われる可能性もある。
実際に、朴槿恵(パク・クネ)元大統領は弾劾案可決から判決まで91日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は63日を要した。
憲法裁判所の判断によって、「大統領・尹錫悦」および「被疑者・尹錫悦」の運命が分かれる。
弾劾決定には裁判官9人中6人以上の賛成が必要だ。もし弾劾が認められれば、尹大統領は即座に罷免され、その後60日以内に次期大統領選挙が実施される。「尹錫悦支持派」と与党「国民の力」は「責任論」に巻き込まれた状態で大統領選に臨むことになり、李在明代表を前面に出した野党は「審判論」を掲げて有利な立場で選挙を戦う見通しだ。
一方、裁判官の賛成が6人未満の場合、弾劾案は棄却され、尹大統領は直ちに職務に復帰する。その場合、尹大統領の「非常戒厳の正当性」を主張してきた親尹派が党権を掌握し、「国民の力」ハン・ドンフン代表をはじめとする弾劾賛成派は、逆風に直面する可能性がある。さらに、早期大統領選を見越していた「共に民主党」の計画は水泡に帰すことになる。
尹大統領が憲法裁判所の判断を待つ間、李在明代表も司法府の判断に神経を尖らせるとみられる。
政界の関心は、公職選挙法違反容疑の1審において懲役1年、執行猶予2年の被選挙権喪失刑を言い渡された李代表の判決確定時期に向けられている。最終判決によっては、次期大統領選への出馬が不可能になる可能性があるためだ。公職選挙法違反で禁錮刑が確定した場合、10年間、被選挙権が制限される。
尹大統領と同様に、李代表の運命も6カ月以内に決着する可能性が高い。
選挙法第270条の「裁判期間に関する規定」によれば、選挙犯罪の1審は6カ月以内、2審と3審はそれぞれ3カ月以内に処理しなければならないとされている。いわゆる「6・3・3原則」だ。
この規定は強制ではないが、裁判所が原則を守れば、12月6日にソウル高裁に配分された李代表の2審事件は、早ければ来年3月までに、最高裁での最終判決も来年上半期中に出されることになる。
与党は李代表の「早期有罪判決」を期待している。政界の一部では、「国民の力」が「政局不安最小化のための6カ月以内の大統領辞任」を推進した背景には、この期間中に李代表の公職選挙法違反事件の有罪確定を見越していたのではないかという観測もある。
もし6カ月以内に李代表の「被選挙権剥奪刑」が確定すれば、尹大統領の弾劾の有無にかかわらず、李代表の大統領選出馬は挫折する。この場合、野党は「ポスト李在明」を模索せざるを得ない。
祖国革新党のチョ・グク前代表が服役することが決まった状況下で、キム・ドンヨン京畿道知事、親文在寅(ムン・ジェイン)派のキム・ギョンス元慶南知事、キム・ブギョム元国務総理などが、野党大統領候補の座をめぐって競争する可能性が取り沙汰されている。
慶熙大学公共ガバナンス研究所のチェ・ジンウォン教授は「尹錫悦大統領を頂点とする戒厳勢力が、競争相手である李在明勢力とボクシングをして窮地に追い込まれ、不正行為をして反則負けを喫するようなもの」と指摘し、「尹大統領に対しては有罪容疑に基づく厳正な捜査と法執行が行われるべきだ」と述べた。
さらに「大統領に対して徹底した刑事司法、および司法府の厳正な処理が予想される以上、野党代表である李在明も同様に聖域なき裁判が進行されるべきだ」と強調した。
(記事提供=時事ジャーナル)
■「李在明は戒厳令以上のことをやりかねない、右派を根絶する」韓国与党議員が警告
前へ
次へ