カードもスマホも不要!キャッシュレス先進国・韓国、“顔認証決済サービス”がコンビニで運用開始へ

2025年02月13日 経済 #時事ジャーナル
このエントリーをはてなブックマークに追加

キャッシュレス先進国といわれる韓国では、現金からカード、そしてカードから「ペイ」の時代が到来した。

【注目】小学校から高校まで、学生2人に1人が現金を持ち歩かない韓国

2025年の韓国では電子決済代行サービス、いわゆる「ペイ」に登録されたスマートフォンさえあれば、いつでもどこでも商品を購入し、サービスの対価を支払うことができる。そのため、現金や実物のカードを持ち歩く人は次第に減少している。

そして、もう一つの革新が迫っている。それが「顔認証決済」時代の幕開けだ。

モバイル金融サービス「toss」は、今年3月に顔認証決済サービスを開始すると発表した。コンビニ業界がこの技術の導入を決定したことで、システムが定着するかどうかに関心が集まっている。

顔認証決済が普及すれば、スマートフォンを取り出すことなく買い物が可能となり、無人店舗の増加にもつながる可能性がある。ただし、過去にクレジットカード会社やポータルサイト「NAVER」も乗り越えられなかった“商用化”という課題を克服できるかが鍵となる。

顔認証決済、なぜ韓国内で定着しなかったのか

2月13日、業界関係者によると、tossを運営するViva Republicaは、3月中に顔認証決済システム「Face Pay」を導入すると発表した。

tossのアプリにあらかじめ顔情報を登録した利用者が、店舗に設置された専用端末に顔をかざすだけで即座に決済が完了する仕組みだ。このシステムは、コンビニエンスストアなどの小売店にも段階的に導入される予定であり、CUやGS25の一部店舗では早ければ3月から、セブンイレブンでは第2四半期から利用可能になる見込みだ。

業界では、顔認証決済が本格的に普及するかどうかに注目が集まっている。

過去に新韓(シンハン)カードやNAVERなども顔認証決済サービスを導入し、次世代決済手段として注目を浴びたが、商用化は困難だった。

韓国内の顔認証決済は、生体認証技術が高度化し始めた2019年に、新韓カードが「Shinhan Face Pay」を発表したことから始まった。

GS25 で顔認証決済をしている様子
(写真=GS25)

当時、「Shinhan Face Pay」は既存の決済手段とは異なる革新的なフィンテックサービスとして注目を集めた。

従業員向けの試験運用を経て、漢陽(ハニャン)大学キャンパスに決済インフラを整備。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、マスクを着用したままでも顔認証が可能な機能を導入するなど、サービスを高度化した。

2021年には大型スーパーHome plusのワールドカップ店での導入を試みるなど商用化を進めたが、大衆的な決済手段としての普及には至らなかった。特に、銀行や店舗に直接出向いて情報を登録しなければならない点が障害となった。

2024年3月には、NAVERが「Face Sign」という顔認証決済サービスを開始した。NAVERはまず、従業員の出入管理や決済、システムログインに活用し、実証実験を行った。

その後、慶熙(キョンヒ)大学ソウルキャンパス内の食堂やカフェで初めて商用化し、さらに一部のポップアップストアでもこの決済方式を導入した。

しかし、専用デバイスが必要であることが普及の障壁となり、広範な利用には至らなかった。現在、「Face Sign」はベータテストとして限定的に運用されている。

拒否感・セキュリティの懸念解消が課題

今回導入された「Face Pay」は、登録の手軽さや端末の普及率の高さから、活用の可能性が大きいと見られている。

現在、tossはアプリを通じて、事前申し込みを希望する利用者が顔を登録できるようにしている。実際にtossアプリで「顔決済」を検索すると、スマートフォンのカメラを使用して写真を撮影し、決済手段を登録する方法が案内された。

決済端末の確保も済んでいる。tossは、決済端末ソリューションの子会社「toss Place」を通じて、自社端末を普及させている。2024年末時点で加盟店は8万5000店舗以上に上る。

tossの決済端末「toss Front」にはカメラが内蔵されており、これを利用して顔情報を認識できる。また、決済可能な店舗リストを距離順に表示し、地図上でも確認できるようにすることで、利用者の利便性を高めている。

CUで顔認証決済をする様子
(写真=CU)

業界関係者は「これまで顔認証決済サービスが普及しなかった要因の1つとして、専用端末の普及率が低かったことが挙げられる。tossの場合、すでに身分証撮影などに活用できるカメラ付き端末を広く普及させており、大衆化のスピードが速まる可能性がある」との見解を示した。

ただし、セキュリティへの懸念や個人情報提供に対する利用者の拒否感といった課題は、克服する必要がある。収集した生体情報の管理についても慎重な対応が求められる。

Viva Republicaは2024年3月27日、個人情報保護委員会に事前適正性審査を申請し、個人情報の適法な取り扱いに向けた方策を講じた。

個人情報保護委員会によると、tossは「Face Pay」を初めて使用する際に身分証の真偽確認を行い、登録済みの顔情報と端末で撮影された顔情報の一致を検証する認証プロセスを導入している。

また、tossが過去にコンサート会場や空港、マンションのコミュニティ施設などで導入した「Face Pass」によって、顔登録に対する拒否感を最小限に抑えたとの分析もある。

海外の状況は?…中国・ロシアで活性化

海外では、顔認証決済が商用化されているのだろうか。

個人情報保護の規制が厳しく、クレジットカードやNFC(近距離無線通信)を活用した決済が早くから定着しているアメリカやヨーロッパ諸国では、流通店舗や一部のファストフード店で試験運用される程度にとどまっている。

一方、ロシアや中国では顔認証決済が活発に行われている。

顔認識技術による身分確認が一般化している中国では、顔認証決済の利用範囲が拡大中だ。中国政府は2019年から携帯電話の契約時に顔情報の登録を義務付けたことで、公共サービスの利用や金融取引などで顔認証を求められるケースが増加した。

さらに、「Alipay」や「WeChat Pay」といった大手決済企業が顔認証決済システムを導入したことで、比較的一般化した。コンビニエンスストアやファストフード店で利用される「Smile to Pay」などの顔認証決済サービスが代表例だ。

また、ハルビン、鄭州、天津市などでは、顔認証による地下鉄運賃の決済システムも導入されている。

ロシアでは、モスクワの地下鉄を中心に「Face Pay」が運用されている。地下鉄のモバイルアプリに写真とカード情報を登録し、改札口に設置されたカメラに顔を向けると、交通費が決済される仕組みだ。

しかし、一部の市民は個人情報の流出や移動データの監視を懸念し、利用を控えていると伝えられている。2022年には、ロシア政府が「Face Pay」システムを利用し、ウクライナへの徴兵対象者を追跡した事例が報道され、顔認識技術が政府の監視ツールとして悪用される可能性があるとの懸念も浮上した。

(記事提供=時事ジャーナル)

日本を「地獄」と叩いた韓国歌手、日本公演へ…その“二枚舌”を意外な人物が痛烈批判

キャッシュレス化が進む韓国だが、「キャッシュレス決済“のみ”」でトラブルが続々

日本に入国拒否された状態が10年も続いている韓国歌手、その理由を語って話題に

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

デイリーランキングRANKING

世論調査Public Opinion

注目リサーチFeatured Research