ただ食べるだけではない!! 料理する姿を楽しむ「クック番」人気の火付け役は日本?

2016年08月22日 話題
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韓国で、「クック番」の人気が尽きない。「クック番」とは、料理を意味する「COOK」と「番組」を組み合わせた造語だ。

以前は芸能人が料理を美味しく食べるだけの「食べ番(組)」が人気で、動画配信サイトなどでも美女BJ(ブロードキャスト・ジョッキー)たちがひたすら何かを頬張る姿を、人々はお金を出してまで見届けるほどだった。

それが、最近になって誰かが料理する姿そのものを楽しむ傾向に移り、クック番が大ブームとなる。

食べ番のさらなる進化形であるクック番は、レシピを紹介する『キユーピー3分クッキング』(日テレ)や『きょうの料理』(Eテレ)のような料理番組とは、一味違うテイストを持つ。

(写真=JTBC『冷蔵庫をお願い』公式HP)

たとえば、芸能人が自給自足した食材で1日3食を作って食べるだけの田舎ライフを観察する『三食ごはん』や、芸能人の家の冷蔵庫をスタジオまで持ってきて、中に入っている食材だけで料理バトルを繰り広げる『冷蔵庫をお願い』などなど。

これらクック番の共通点と言えるのは、その腕前がどうであろうと、誰かの料理する姿が面白おかしく描かれることだ。

そこには、料理番組では定番の“料理研究家”を名乗る40~60代の慎ましき女性の姿はいない。番組を盛り上げるのは、“シェフ”という肩書きを持つ有名レストラン出身の30~40代のイケメン、もしくは親近感あふれる男性タレントたちだ。

彼らは、決してレシピを教えるための料理をしない。というのも、ただゲーム感覚で料理をしながら、笑いや面白いエピソードを提供するだけだ。

ちなみに、とあるアンケート結果によると、クック番を見て真似したことがあると答えた人は全体の30%のみ。クック番マニアだというある女性は、「実生活ではコンビニのパンで食事を済ませる」という。

皮肉なことに、ちゃんとした料理をする時間や余裕のない一人暮らしの人たちが、クック番にもっとも夢中になっているのだ。食欲という一次元的欲望すら満足にできず、現実での空腹をテレビで満たす矛盾は、韓国社会が抱える矛盾そのもののような気もする。

ところが、食べ番やクック番の引き金となったのが『かもめ食堂』、『深夜食堂』、『孤独のグルメ』のような日本の映画やドラマ作品であることをご存知だろうか。

『かもめ食堂』の主人公のライフスタイルは、韓国の未婚女性や若い主婦の間で一時期大きな反響を呼んだ。

また、感性溢れる『深夜食堂』や『孤独のグルメ』シリーズは韓国にも根強いファンが多い。

『深夜食堂』の韓国リメイク版ドラマも制作・放送された。

食べ番の元祖とも言えるこのような作品が流行ったからこそ、韓国がもっとも得意なバラエティ番組に料理を練り込む試みが成功していると言えるだろう。

来る韓国のお盆休みには、200人以上のアイドルが料理の腕を競う番組『アイドル料理王』が放送予定らしい。まだまだ「食べ番・クック番」に対する熱は冷めなさそうだ。

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