タイのバンコクで行われていた第67回ミス・ユニバース世界大会が何かと話題だ。
大会前にはトランスジェンダーであるアンヘラ・ポンセさんがスペイン代表として参加していることが話題だったが、最近はアメリカ代表のサラ・ローズ・サマーズさんがベトナムやカンボジア代表の英語力のなさを指摘した動画をインストグラムにアップし、非難の集中砲火を浴びて謝罪した。
これらのニュースは韓国でも取り上げられている。
今回のミス・ユニバース世界大会には、ミス・コリア選抜大会に対抗する新設大会『ミス・クイーンコリア』優勝者のペク・ジヒョンさんが韓国代表として出場しているが、彼女に関する記事よりも、「スペイン最高の美人はトランスジェンダー」(『イーデイリー』)、「ミス・アメリカ代表がアジアからの参加者たちを嘲弄した言葉とは?」(『ファイナンシャルニュース』)といった報道のほうが多い。
ミス・ユニバースは本選の前に各国の代表たちが2~3週間の合宿を行なうことで知られており、その合宿期間中は宣伝期間であり審査期間であることから、大会前からさまざまな情報が飛び交う。
まして最近は各国の代表たちが自己アピールを兼ねて、合宿中にインスタグラムやフェイスブックといったSNSを発信することも当たり前となった。
韓国では昨年、ミス・ユニバース韓国代表が大会中の様子や日本やガーナなど各国代表との交流をSNSで明らかにし、「麗しき美談」としてメディアで取り上げられた。
政治的な質問を受け炎上
それとは対照的に、サラ・ローズ・サマーズさんの場合は差別的発言として物議を呼び、彼女が謝罪する事態になったわけだが、実は韓国でもミス・ユニバース世界大会が物議を呼んだことがある。フィリピンで行われた第65回大会のときのことだ。
韓国代表として出場していたキム・ジェニさんに対して審査員から政治的な質問があった。
彼女はその回答に困ったのだが、韓国ネット民たちの間ではその対応の不味さが採点に響き準決勝で敗退したと受け止められ、ニュースの書き込み欄には2000件を超えるコメントが殺到したのだ。
キム・ジェニさんはその後、ポーランドで開かれた第9回ミス・スプラナショナル世界大会』にも出場。ミス・スプラナショナル世界大会は2009年から行われている美女コンテストで、2016年からは日本でもミス・スプラナショナルジャパンが行われているが、そんな世界大会で韓国人女性が優勝するのは初めてだった。
それどころか韓国人女性が国際的な美女コンテストで優勝したのも初めてだっただけに、通信社『聯合ニュース』も「韓国人キム・ジェニ、国際美人大会で優勝」と報じたほどだったが、紹介の際には前出のミス・ユニバース世界大会での出来事がかならず紹介されていた。
つまり、裏返せばそれだけミス・ユニバース世界大会が、韓国でも有名である証拠だろう。何しろミス・ユニバースは、『ミス・ワールド』や『ミス・インターナションナル』と並んで“世界三大美女コンテスト”とされている。
日本の過去の出場者たちを見ても、知花くらら、森理世など有名人が多い。
昨年は情報番組『スッキリ』でお馴染みの阿部祐二レポーターの娘である阿部桃子が日本代表としてミス・ユニバース世界大会に出場して話題になった。
韓国でも古くはオ・ヒョンギョ(1990年出場)、キム・サラン(2001年出場)、イ・ハニ(2007年出場)など、ミス・ユニバース世界大会出場経験を持つ女優やタレントは多い。
最近では2017年大会に出場したチョ・セフィがモデル兼タレントとして活躍している。彼女はSNSなどを積極的に活用しており、その日常も日々公開。
それらが、「魅力発散、ミス・ユニバース経験者の日常」(『国民日報』)、「ミス・ユニバースのチョ・セフィ、メイクアップ・ノウハウを公開」(『KNSニュース通信』)、「ミス・ユニバースのチョ・セフィ、CG級のSラインボディ」(『マイデイリー』)とメディアでも逐一報じられるほどなのだから、ミス・ユニバース出場の経歴は伊達じゃないといった感じだろう。
そうした関心の大きさゆえに今回の件も大炎上する騒動となったのだろうが、いずれにしにしてもミス・ユニバースは外見の美しさだけが審査基準ではない。知性や感性、人間性や誠実さといった内面も重視され、社会性なども問われる。
そういう意味でいうと、サラ・ローズ・サマーズさんの発言は軽率だったが、本人は謝罪し、ベトナム代表やカンボジア代表の出場者も理解を示したという。これ以上の騒ぎに発展しないことを祈るばかりだ。
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