日本で大ヒットしたアニメ『ラブライブ!』。アニメファンでなくとも、その名を聞いたことがあると思うが、韓国でもその人気は凄まじいようだ。
2015年4月のアニソンイベント「Lantis Festival 2015」ソウル公演では、『ラブライブ!』の声優陣たちのユニット「μ’s(ミューズ)」が参加するということで、チケットは2分で即完売。声優は全9人中5人の参加となったが、彼女らを一目見るため、到着時には数百人の韓国ラブライバーが空港に殺到したという。
また、2015年9月3日から韓国で公開された劇場版『ラブライブ!The School Idol Movie』が、公開から10月13日までの約1カ月で、韓国国内で公開された日本アニメ映画史上、最大の観客動員数を達成。それまでの最高記録は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が残した7万6397人だったが、『ラブライブ!』の観客動員数はわずか1カ月で8万6400人を突破したのだった。
日韓で人気の『ラブライブ!』だが、同アニメの熱狂的なファンは“ラブライバー”と呼ばれている。近年、彼らの迷惑行為が問題視されることも少なくないが、韓国にもラブライバーがいるという。
韓国ラブライバーたちも、なにやら独特な活動に励んでいる。
2015年7月4日の『朝鮮日報』によると、地下鉄ソウル駅構内に縦1.5m、横2mのアニメキャラの広告が突如として出現したという。そこには、着物を着た女の子のイラストとともに、「大銀河宇宙No.1」というコピーが。そのキャラクターは『ラブライブ!』の登場人物の一人「矢澤にこ」で、よく見ると「YAZAWA NICO HAPPY BIRTHDAY!」の文字も書かれている。
実はこの広告、韓国ラブライバーたちが、矢澤にこの誕生日(7月22日)を祝うために掲載したもの。“にこオタク”と呼ばれる彼らは、「にこにこ団」というクラブを形成し交流、活動しているという。
彼らはクラブのホームページにて3カ月かけてネット募金を展開。約150万ウォン(約15万円)を集め、広告を掲載した。おもしろいのは、クラブホームページに「広告にお辞儀をするなど、通行の妨げになるようなことはしない」「アニメの流行語などを叫ばない」などの注意が呼びかけられていること。
興味のない人には一体なんのことかわからないかもしれないが、日本や中国のラブライバーたちのなかには、ラブライブ関連の広告などを前に公共の場でひざまずいてお辞儀をする人たちが少なくない。そうした迷惑行為を控えるよう、韓国ラブライバーたちが呼びかけているのだ。
逆説的だが、迷惑行為防止を呼びかけるのは、迷惑をかけるラブライバーたちがいるからだろう。
実際に、ソウルの映画館では、『ラブライブ!』コミュニティー内で有名だったあるラブライバーによる暴走事件も起きている。
彼は“お米好き”という設定のキャラクター小泉花陽が画面に登場すると、なんとレトルトご飯をスクリーン目がけて投げつけ、劇場スタッフによって強制退去となったのだ。のちに彼は、自身が所属するコミュニティーサイトで「物議を醸して申し訳ない……。テンションが上がりすぎて、雰囲気に酔った行動だった」と謝罪した。
しかし、その謝罪はかえってほかのラブライバーたちの怒りを煽る結果となり、「お前のせいで、ラブライバーが誤解される」「『ラブライブ!』が好きだからこそ、この事件は恥ずかしい」など、多くのバッシングを受ける結果となった。
いずれにせよ、日本と同じく韓国ラブライバーたちの思いは熱い。迷惑行為さえなくなれば、これぞ日韓の文化交流となるのではないだろうか。
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