韓国ドラマが東南アジアを席巻している。
韓国メディアは連日その活況を報じており、「ブルネイ、インドネシアなどで韓国ドラマ大ブーム」(『金剛日報』)、「東南アジアを虜にした韓国ドラマ」(『コリアヘラルド』)といった見出しが並んでいる。
例えば8月から韓流専門チャンネルが放送開始するタイでは、プラユット・チャンオチャ総理が自ら視聴したという韓国ドラマ『太陽の末裔』について触れながら、愛国心を鼓舞できるドラマを作成することを指示したらしい。
事実、東南アジアからの観光客も増えている。
今年の1~5月に韓国を訪れた外国人観光客数と、シンガポール、タイ、ホンコン、マレーシアからの旅行客は昨年比6~8%増え、ベトナムにいたっては30%も増加している。
THAAD配備の影響で中国人観光客が減少していることも関係しているだろうが、それでも東南アジアからの旅行客が増加傾向にあることは間違いないだろう。
その理由について、あるマレーシア人観光客は「韓国ドラマの影響が大きいです。マレーシアでは韓国の人気がますます高まっていますから」と語っている。
なぜ、東南アジアで韓国ドラマがここまで人気を呼んでいるのだろうか。
ひとつは大企業の後押しが影響していることが挙げられるだろう。
シンガポールのナンヤン技術大学リュ・カイクン助教授は、大企業が物心両面で投資していることで、台本と演技のクオリティが上がり、マーケティングをリードしていると分析している。
また、リュ助教授はドラマのジャンルが幅広いことも理由だとしている。
たしかに韓国ドラマは犯罪捜査サスペンスやラブコメディ、はたまた政治関連ドラマなど多種多様だ。これは、ひとつの作品だけでなく韓国ドラマ全体が人気を呼んでいる一因と言えるだろう。
しかし、最も大きな理由は女性視聴者の攻略にあるのかもしれない。
リュ助教授は、多くの韓国ドラマが女性の主人公の成長を扱っている点に着目し、彼女たちが「完璧な男」に「救済」されるストーリーが共感を呼んでいると話す。
実際、韓国を訪れる東南アジア人の大半が女性であるという報道もあるほどだ。
リュ助教授は「韓流がアジアの人々にとってモダンなライフスタイルの代名詞になっている」とも語るが、東南アジアでの韓国ドラマ人気は今後も続くのだろうか。引き続き注目したい。
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