韓国から日本サッカー“黄金世代”に贈るメッセージ「いつかまた、昔のように語り合おう」

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ポーランドで行われたU-20ワールドカップで快進撃を見せたU-20韓国代表。決勝戦でウクライナに1-3で敗れて準優勝に終わったが、韓国男子サッカー史上初めてFIFA主催の国際大会で決勝進出を果たした“若き太極戦士”には称賛の声が絶えない。

チームは6月17日の早朝に帰国したが、仁川空港には300人を超えるファンたちが出迎えたほどだ。

そんなU-20韓国代表の快挙に拍手を送る人物がいる。Kリーグ現役最年長40歳のイ・ドングッだ。

小野伸二らと友情深めた“チェンマイの夜”

19歳で韓国代表に選ばれ、1998年フランスW杯を経験し、翌1999年ワールドユース(現在のU-20ワールドカップ)にも出場したストライカ―は言う。

イ・ドングッ(写真提供=FA photos)

「8強(ベスト8)や4強(ベスト4)進出でも凄いなのに決勝進出ですからね。敗れて準優勝に終わったとしても、若い選手たちが価値ある経験をしたのではないでしょうか。僕たちの頃は想像もできなかった大快挙ですから」

イ・ドングッがU-20カテゴリ―の世界大会のピッチに立ったのは、1999年ワールドユース。韓国はポルトガル、ウルグアイ、マリと同じグループDに属すも、マリとの最終戦でしか勝てず、1勝2敗でグループリーグ敗退に終わった。

同じくアジア代表として出場していたU-20日本代表が準優勝の快挙を成し遂げていたこともあって、韓国ではその不甲斐なさを余計に指摘された大会でもあった。

だが、イ・ドングッは日本のワールドユース準優勝の快挙が大きな励みにもなったという。

小野伸二、小笠原満男、播戸竜二、中田浩二、本山雅志、稲本潤一、高原直泰といった“黄金世代”の面々とは、その前年にタイのチェンマイで行われたU-19アジアユースで予選と決勝で2度も対戦するだけでなく、宿舎で語り合う交流も重ねていたからだ。

「今でも思い出すと、心が熱くなりますし、みんなが懐かしい。お互い、夢や希望にあふれた若い頃に出会った仲ですからね。アジアユースで対戦したあとも、U-22カテゴリ―やフル代表での韓日戦でも何度か顔を合わせたし、ACLでも対戦した。

あのときのメンバーが多かった鹿島との対戦は、違った意味で楽しみでしたから(笑)」

「会って昔のように、いろいろと語り合いたい」
気がつけば、あれから20年。

日本の “黄金世代”で今でも小野伸二や稲本潤一らが現役として活躍しているが、韓国で現役を続けているのはイ・ドングッだけとなった。だからこそ余計に、今も現役生活を送る日本の“黄金世代”たちは励みにもなっているという。

「国もプレーするリーグも異なりますが、同世代だし、同じ時代に選手として頑張ってきた者同士じゃないですか。仲間というか同志というか、そういう感覚があって、メディアなどを通じて彼らの情報に接すると自分も頑張ろうと思いますし、実際に再会すると互いに歳を取ったことを確認できて楽しい。間違いなくあります」

昨年もシーズン前の沖縄キャンプでコンサドーレ札幌との練習試合があり、小野伸二と久しぶりに再会したという。

僕も顔にシワが増えたけど、小野も坊主頭に白いものもが混じっていて、互いに笑いあいました。播戸、小笠原、中田浩二とか、あの頃のメンバーたちがもう一度集まったら、本当に楽しいでしょうね」

―日本ではこの春、ワールドユース準優勝20年の節目ということあってインターネット・メディアで『サッカー黄金世代「同窓会」』という連載特集があって大きな反響を呼びましたよ。

「とても素晴らしく、楽しそうな企画ですね。話を聞いているだけで、僕も彼らにもう一度会いたくなります。会って昔のように、いろいろと語り合いたい」

―再会したら、どんな話をすると思いますか? 20年前のようにサッカーのことやいろいろ?

「技術的なことや体力的なこと、例えば“コンディション管理はどうしている”とか、そんな話はしないでしょうね。お互いプロとして20年近くやってきているので、そういったことは語るまでもないことですよ。

むしろ家族のことや今後の人生のことについて聞きたいかなぁ。結婚はしたのか、育児や家事は手伝っているのか、とか(笑)。引退したらどういう道に進もうとしているのか、そのためにどんな準備をしているのか。そんな話をじっくりとしてみたい」

―そういった込み入った話はさすがにピッチでの再会だけでは無理そうですね。

「ええ。オフのときに、いつか僕が彼らの元を訪ねるか、彼らが韓国に来るかでしょうね(笑)。彼らが韓国に来たら、美味しい食べ物でも観光でもショッピングでも、望むところにお連れしますよ(笑)」

冗談交じりでそう語ったKリーグ最年長のストライカー。だが、いつの日か必ず再会を実現させたいと思っているのは間違いなさそうだった。

文=慎 武宏
 

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