1968年にはドイツ人コーチをユース代表コーチとして招聘し、韓国人指導者たちも積極的に西ドイツに留学している。
1992年バルセロナ五輪アジア予選では、“日本サッカーの父”とされる故デットマール・クラマー氏が韓国オリンピック代表の総監督を務めたこともある。
何よりも決定的だったのは、韓国人初の海外進出プレーヤーとして1979年に西ドイツに渡ったチャ・ボムグンの存在だ。アイントラハト・フランクフルト、バイエル・レバークーゼンなどに在籍した1989年までの10年間で、308試合出場98得点を記録し、ブンデスリーガで一時代を築いた彼の存在により、韓国にとってドイツサッカーは身近な存在になった。
チャ・ボングン以降もキム・ジュソン(ボーフム)、イ・ドングッ(ブレーメン)、シム・ジェウォン(フランクフルト)、アン・ジョンファン(デュースブルク)、イ・ヨンピョ(ドルトムント)などがドイツでプレー。
チャ・ボムグンの息子で幼年期をドイツで過ごしたチャ・ドゥリも、2002年から2010年、2012-2013年シーズンにブンデスリーガでプレーしている(2013年からFCソウルでプレーし、2015年限りで現役引退した)。
また、近年はドイツ移民第1世代の子息や孫たちがケルン、フランクフルト、マインツなどの下部組織でプレーしている。そんな中で世界的にも注目を集めることになるスター選手も生まれた。
ソン・フンミンだ。2008年にKFA(韓国サッカー協会)の「優秀選手海外留学ブログラム」の一環でハンブルガーSVに1年間のユース留学を経験したソン・フンミンは、2010年1月にハンブルガーSVと正式契約を交わして、“ソン・セーショナル”と造語ができるほどの活躍を見せ、2013年からは3シーズン、レバークーゼンでも活躍した。
現在はイングランド・プレミアリーグのトッテナムのエースとして活躍するソン・フンミンだが、そのキャリアのスタートはドイツにあったのだ。
その後もドイツ・ブンデスリーガではク・ジャチョル、ホン・ジョンホ、チ・ドンウォン(アウグスブルグ)、パク・チュホ(ドルトムント)、キム・ジンス(ホッフェンハイム)、イ・チョルヨン(ボーフム)、クォン・チャンフン(フライブルグ)などがプレーしたが、彼らは今ではドイツにはいない。
現在、ドイツで選手生活を送っているのはファン・ヒチャン(ライプツィヒ)、キム・ジェソン(マインツ)、チョン・ウヨン(フライブルク)などである。
また、現役時代は西ドイツ代表として活躍し、指導者としてもドイツ代表アシスタントコーチを務めたウリ・シュティーリケ監督が2014年9月から韓国代表監督を務めた時期もあったが、2017年5月に解任されている。韓国代表初のドイツ人監督だったのだが…。