【思い出インタビュー】韓国NO.1チアリーダー、パク・キリャンの素顔(中)

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チアリーダーたちは、試合のある日をどう過ごしているのだろうか。

「ホームで試合があるときは、何があっても舞台に立ちます。試合の3時間前には球場に入って、メイクをして、髪を整えて、食事もして。その後に簡単にリハーサルも。試合のある日は、ほとんど丸一日球場にいるという感じですね。月曜日は試合がありませんが、チアリーダーたちにとっては練習日。つまり、ほぼ毎日ということ(笑)。シーズンが始まったら休日というのはほとんどないんです」

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このインタビュー後に試合を観戦したが、チアリーダーたちの仕事は想像以上に過酷だ。攻守が切り替わるたびに、一塁側ベンチの上に設置されたステージで、観客席に向かってダンスを披露する。それがほぼ毎日ということであれば、体調管理にはさぞ気を使っていることだろう。

「よく聞かれるんですけど、特にしてないんですよ(笑)。気をつけていることと言えば、試合中に汗をたくさんかくので、水をよく飲むようにしています。水はあんまり好きじゃないんですけどね。でも一度、脱水症状で救急室に運ばれたことがあって…。それからは気をつけています。本当にそれくらいです」

「応援がうまくいけばいつも勝つ」

パク・キリャンがやりがいを感じる瞬間は、やはり観客と一体になって応援がうまくいったときだ。パク・キリャンは応援の力が試合に影響を与えると信じている。

「そもそも私たちの役割は、応援をリードすること。応援席では誰よりも汗をかきますが、いつも笑顔でいるようにしています。そうすると、多くの人が同じ気持ちになって応援してくれます。ファンの方たちが一緒に応援してくれて、それで試合にも勝てれば本当に言うことがないですね。

本当に応援がうまくいったときは、いつも勝つんです。観客のファンたちが応援をいっぱいしてくれたら、私たちももちろんうれしいですが、選手たちはもっと力を得られると思うんです。聞いたことはないですけど(笑)」

「聞いたことがない」と答えたのは、チアリーダーたちは選手たちとのコミュニケーションを禁止されているからだ。直接話すことはもちろん、連絡することも禁止されているという。それでも、パク・キリャンには好きな選手がいるとか。

「ソン・アソプ選手とファン・ジェギュン選手ですね。自己管理を徹底しているプロだという話をよく聞きます。成績を見れば、誰が自己管理をきちんとしていて、誰がだらしないかわかるでしょう(笑)。ソン・アソプ選手とファン・ジェギュン選手は本当に一生懸命なことがわかるし、努力もたくさんしていると聞いていて、プロ選手としてかっこいいと思います」

パク・キリャンの原点を探る

今ではロッテ・ジャイアンツどころか、チアリーダーの顔となったパク・キリャンだが、チアリーダーになったのは高校2年生のとき。

街を歩いていたら、スカウトされたという。デビューは、バスケットチームのチアリーダーだった。

「野球についてはまったく知らなくて、釜山生まれなのにロッテ・ジャイアンツのこともほとんど知らなかった(笑)。バスケのチアリーダーをやっていたある日、仲の良いオンニ(お姉さん)が野球の試合に招待してくれたんです。そこで野球の迫力というか、球場の大きさというか、そういうところに魅せられて、“ここでやってみたい”と思いました。それで自分からやりたいと申し出て、ロッテ・ジャイアンツのチアリーダーになることができたんです」

パク・キリャン

ただし、パク・キリャンがチアリーダーとしてデビューした当時、周囲の目は厳しかった。短い服を着て、球場でダンスを踊るということで、色眼鏡で見る人も少なくなかったという。両親も反対したそうだ。

そんな韓国におけるチアリーダーのイメージに一石を投じたのは、一本のドキュメンタリー番組だった。2013年10月に放送されたMBCのドキュメンタリー番組で、密着取材を受けたのは他でもなくパク・キリャンだ。

「3~4日間、密着されたんですが、ありのままの姿を見てもらおうと思って。当時はチアリーダーに対して良いイメージがなかったのですが、それはそもそもチアリーダーがどのような職業かを知らなかったからだと思うんです。表面だけ見ると、華やかに見えるでしょう。でも、舞台裏ではそれほど環境が良くない。待機場所もすごく狭いですしね。そのドキュメンタリーでは、私が負傷して病院に行っているシーンも映されました。ダンスでたくさん飛ぶから、関節が悪くなって。いつも通りのチアリーダーの姿なのですが、そうやって知ってもらったことでちょっと印象が変わったと思うんです」

そのドキュメンタリーをきっかけに、チアリーダーという“職業”が徐々に知られるようになっていった。韓国のチアリーダーについて調べてみると、「パク・キリャンのおかげでチアリーダーのイメージが良くなった」という記事も数多く見つかる。

「多分、“こういう人もいるんだな”といろんな人が知ってくれたんだと思います。なんというか、チアリーダーをひとつの職業として認めてくれるようになったんです。テレビに何度か出ましたが、みんな私のことなんてみんな知らないわけですよ。それで“パク・キリャンって誰だ?”となって、検索キーワードで1位になったりして。そうやって少しずつ、知られていくようになったのかなと思います」

チアリーダーの人気投票でも3年連続1位となった。

「数年前からどこかでチアリーダーの人気投票をしたみたいです。そこで3年連続1位になったりして。それで人々の認識が“NO.1チアリーダー、パク・キリャン”となったと思います。とてもありがたいことですよね」

それにしても、彼女がここまで人気がある理由はどこにあるのだろうか。(つづく)

文=呉 承鎬

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