2021年2月、テキサス・レンジャーズにはマイナー契約を結んで春季キャンプに招待された一人の韓国人投手がいた。
その選手とはヤン・ヒョンジョン。KBOでは2007年にKIAタイガースでデビューし、2017年にはレギュラーシーズン20勝で最多勝投手、韓国シリーズ優勝でMVPに輝いた。渡米前の2020年まで通算147勝を挙げた左腕エースだ。
そんなヤン・ヒョンジョンはレンジャーズとマイナー契約後、4月2日に発表された開幕ロースター入りこそ逃したが、同月27日のロサンゼルス・エンゼルス戦でコールアップ。4-7とリードされて迎えた3回途中から2番手で登板し、念願のメジャーデビューを果たした。
デビュー戦では大谷翔平のセーフティバントで初被安打を許し、その後もソロ本塁打を浴びたが、降板した7回までに4.1回で66球を投げ、5被安打、1奪三振、2失点の防御率4.15を記録。試合後には「メジャーは言葉通り“夢の舞台”だった」と喜びも伝えていた。
その後、5月6日のミネソタ・ツインズ戦ではレンジャーズ史上最高齢の33歳65日で先発登板し、8つの三振を奪うなど活躍を見せたヤン・ヒョンジョン。だが、その後はシアトル・マリナーズ戦で菊池雄星(現トロント・ブルージェイズ)との“日韓対決”に敗れるなど、同月の間で一挙3敗を喫してしまう。
結局、6月にマイナー降格となると、8月にはコールアップから一週間で再降格するなど定着せず、9月14日のヒューストン・アストロズ戦での途中登板がメジャー最後のピッチングに。翌15日に3度目のマイナー降格となると、10月に自由契約となり、最終的に古巣のKIAへ復帰。ヤン・ヒョンジョンのメジャー挑戦は1年で幕を閉じることになった。
シーズン成績は12試合で35.1回を投げて0勝3敗。42被安打(9被本塁打)、17四死球、25奪三振、24失点(自責点22)だった。
ヤン・ヒョンジョンが苦しんだ最大の要因とされるのが、「決め球(ウイニングショット)」がなかったこと。KBOで長く活躍したエースも、メジャーの高い壁を乗り越えることはできなかった。
ちなみに、ヤン・ヒョンジョンはKIA復帰初年度の今シーズン、30試合に登板して12勝7敗の防御率3.85を記録。最年少2000イニング、最年少150勝、9季連続100イニング、通算2100イニング、通算1800奪三振、8季連続二桁勝利、三桁奪三振など、数々の記録を達成するメモリアルな一年を過ごした。メジャーで成功することはできなかったものの、韓国ではまだその投球能力が十分通じているようだ。
(文=サーチコリアニュース編集部H)