「僕の作品を初めて映画だと認めてくれたのは韓国の観客たち」とは、2019年10月に『天気の子』PRのために韓国で開いた記者会見で新海監督が放った言葉だが、新海監督ほど韓国のアニメ・ファンたちに愛されている“巨匠”もいないだろう。
2007年の『秒速5センチメーター』公開時には、自らの名を韓国語で書いたサインをファンに渡す気配りが話題になった。
『君の名は』の公開に合わせて2017年に来韓したときは、「スタッフの中には韓国人もいます。僕にとって最も身近な外国ですね」と語った韓国愛が話題になったこともある。
そして、今年3月に『すずめの戸締まり』のPRのために来韓した際も、次のような発言をして韓国アニメファンから多くの共感を呼んだ。
「韓国の観客が日本のアニメを好きになってくれて嬉しく思います。人気の理由のひとつは、韓国と日本が少し似ていることがあるからではないかと思います。韓国に来ると日本と似ていると思うし、ある時は“懐かしい”と思うこともあります。そのため、韓国の観客が日本のアニメを楽しんでくださり、逆に日本では韓国ドラマをたくさん見たりしているのだと思います。
日本と韓国は政治的には良い時も悪い時もありますし、それが繰り返されていますが、文化的にはお互いに強く繋がることを願っています」
それだけに、300万人突破でふたたび韓国にやってくる新海監督が、今度はどんなメッセージを発するかに注目と期待も集まっている。
報道によると、公約を守るための来韓は4月下旬を予定しているということだが、その頃には『君の名は。』が韓国で打ち立てた累計観客動員367万3876人は楽に超えていることだろう。
もしかしたら、今年2月に『THE FIRST SLAM DUNK』に譲った韓国における日本アニメ長編映画歴代1位の座を、新海誠作品がふたたび取り戻しているかもしれない。
いずれにしても、韓国の日本アニメ人気はまだまだ続きそうだ。
文=慎 武宏
*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。