韓国気象庁の自動気象観測装置、1日平均1.6件も故障…しかも復旧まで1日半かかる「信頼性の低下に」

2025年09月03日 社会 #時事ジャーナル
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気温、湿度、風向など多様な気象要素を自動で測定する韓国気象庁の自動気象観測装置(AWS)で、2024年、600件の故障が発生したことがわかった。

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1日平均、約1.6件の故障が起きた計算になる。

問題は、一度故障すると復旧まで平均でおよそ1日半かかるという点だ。猛暑、干ばつ、局地的豪雨など予測の難しい気象現象が頻発するなか、正確な国家気象データの確保のため対策が急務だとの指摘が出ている。

一度も故障しなかった装置はわずか44%

9月2日、国会予算決算特別委員会の「2024会計年度決算および予備費支出承認案件」検討報告書によると、韓国の気象庁が運用中の自動気象観測装置640台のうち、2024年だけで合計600件の故障が発生した。

一年間を通して一度も故障しなかった装置は283台(44%)にとどまり、半数にも満たなかった。

報告書では、復旧した装置が繰り返し故障する問題も指摘された。全体のうち5回以上故障した装置が6台、6回以上の装置も4台に達した。

さらに大きな問題は、一度故障すると復旧に1日以上かかるという点だ。報告書によれば、故障した装置を復旧するのに平均33時間40分を要していた。予算決算特別委員会は「故障が発生すると日別予報(24時間)を超える時間のあいだ、正確な気象値を測定することが難しい」と指摘した。

韓国ソウル
(写真=OSEN)韓国ソウル

韓国気象庁は、装置の台数増加に伴って故障件数の増加も避けられないという立場を示した。

しかし、直近3年間で自動気象観測装置の増加は1~2台にとどまる一方、故障件数は急増している。実際、故障件数は2022年385件、2023年156件(装置2台増加)、2024年600件(装置1台増加)と、装置数はほとんど変わらないのに故障だけが急増した格好だ。

「国家気象データの信頼性の低下につながる可能性も」

韓国気象庁は、装置が屋外に設置されているため、気象条件によって故障は避けられないと説明する。

気象庁関係者は『時事ジャーナル』との通話で、「装置が屋外に設置されているので落雷や豪雨に伴う雷などで一時的な障害が発生することがある。1時間あたり50mm、80mm、100mmと降水量が増える傾向にあるため、悪天候にさらされる確率も高くなっている」と語った。

また、装置設置地域の拡大も故障増加の要因に挙げた。この関係者は「初期には人口の多い内陸部に設置したが、最近では海岸や島しょ部まで拡張している。こうした地域は塩分や海洋環境の影響を受けやすいため、故障が発生しやすい」と強調した。

復旧に長時間かかる理由については、「市内や道庁のようにアクセスの良い場所は車で容易に移動できるので復旧も早いが、山頂や僻地に設置されている場合は状況が違う。豪雨や大雪注意報が発令されて雪が積もると現場に近づくこと自体が難しく、海上装置の場合は波浪注意報が出れば船を出せず、復旧が遅れるしかない」と釈明した。

これに対し予算決算特別委員会は、装置運用環境への事前の考慮が不足していたと指摘した。委員会は「自動気象観測装置やセンサーが屋外で運用されるのは当初から前提条件であり、こうした外部環境は設計や維持管理段階で十分に考慮されるべきだ」とし、「故障発生時に平均で1日以上かかるなら、その地域の気象値測定が困難になる」と警告した。

さらに「装置の故障は国家気象データの正確性と信頼性の低下につながりかねないにもかかわらず、故障件数が毎年増加している」とし、「気象庁は観測装置の故障を防ぐための方策を講じる必要がある」と求めた。

(記事提供=時事ジャーナル)

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