韓国国民のモラルとは…罵詈雑言で埋め尽くされた「悪質な民願」1万件出した人まで、国民権益委員会の憂鬱

2024年10月15日 社会 #時事ジャーナル
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国民の権益を救済するための韓国の国民権益委員会の行政審判職員たちが昨年、1人あたり「600件」以上の民願を処理するなど、過度な業務に苦しんでいたことが明らかになった。

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特に一部の請求人による「虚偽・悪質」な民願が急増し、本来急を要する民願が60日以内に処理されず、「8000件」以上が滞っていることも確認された。

政治界では、この問題が行政力の消耗や税金の無駄遣いにつながる可能性があるとして、悪質な請求人による「行政審判請求権の濫用」を防ぐ対策が必要だとの指摘が出ている。

「悪質な民願」が急増の現実

行政審判は、国民が行政機関による違法・不当な処分で権益を侵害された際に行う救済手段である。無料で権益の救済を受けられる上、行政審判が認められた場合、行政機関は不服申し立てができず、請求人である国民に有利な制度となっている。

特に、国民権益委員会が運営するオンライン行政審判請求システムは、請求人の手続き上の権利と利便性を保証し、職員の業務効率を高めることを目的に2010年に導入された。

国民権益委員会
(画像提供=時事ジャーナル)

国民もオンライン行政審判請求システムを活発に利用している傾向にある。国会・政務委員会所属のキム・サンフン議員(国民の力)が国民権益委員会から提出を受けた「最近3年間の行政審判受付・議決状況」によると、行政審判の受付件数は2021年1万9229件、2022年2万1467件、2023年3万896件と増加している。この2年間で約60%も急増した。

一方で、行政審判システムに受け付けられた件数のうち、認められた件数は、2021年1710件から2022年1468件、2023年1247件と減少している。認定率(認定件数/認定件数+却下件数)も2021年に10.3%だったが、2022年には8.6%、2023年には7.2%まで低下している。

残りの件数のほとんどは、請求理由が不十分であったり、虚偽・悪質な民願と判断されたりして、却下・棄却されたものであることがわかった。

実際に国民権益委員会は最近、一部の悪質な請求人を刑事告訴している。ある悪質な請求人A氏は、民願の窓口である「オンライン行政審判請求」システムを通じて、罵詈雑言で埋め尽くされた「悪質な民願」を過去5年間にわたり「1万3145件」も提出したとされている。

彼は行政審判の結果を受け取る際に郵送を選択しながら、意図的に受け取りを拒否し続けた。その結果、発生した書留郵便料と返送料だけで7200万ウォン(約790万円)に達したことが確認された。

同様に悪質な請求人とされるB氏やC氏も、それぞれ298件と529件の行政審判を請求しているが、これらはすべて不特定内容と判断され、すべて棄却処理された。この過程で、2人はそれぞれ「15万件」(容量255GB)と「25万件」(容量356GB)に及ぶ証拠書類を添付ファイルとしてアップロードした。

このファイルが行政審判全体のサーバー容量の94%を占めたため、サーバー障害が発生し、国民権益委員会は4000万ウォン(約440万円)のサーバー増設費用を余儀なくされた。

行政審判調査官、1人あたり620件

このように、虚偽・悪質な民願を含む行政審判の請求件数が増加することで、国民権益委員会の職員の業務量も増加している傾向にある。

国民権益委員会の行政審判調査官1人あたりが担当する年間平均処理件数は、2021年429件、2022年481件、2023年620件を記録した。職員の過剰な業務負担により、処理期間(60日)を超過した請求件数も2021年5846件、2022年7589件、2023年8271件と自然に増加している。これにより、実際に権益救済が急務な民願の処理が遅れている状況だ。

国民権益委員会内部でも、最近急増した虚偽・悪質な民願に対する不満が高まっている。ある国民権益委員会の関係者は電話取材で、「一部の民願には口に出せないほどの罵詈雑言や中傷が書かれており、精神的なストレスも大きい。また、悪質な民願を請求した後に、回避や審理日程の延長、行政審判委員の情報公開請求など、様々な申請書を繰り返し提出し、意図的に行政力を浪費させるケースもある」と述べ、「実際に急を要する民願が処理されない状況だ」と訴えた。

一部では、国民権益委員会が推進している「ワンストップ行政審判システム」が悪用される可能性があるとの懸念もある。

最近、国民権益委員会は国民の迅速かつ効率的な行政審判サービス利用を目指し、現在120以上に分かれている行政審判業務の統合を進めている。また、機関ごとに個別で運営されている行政審判オンラインシステムの統合も計画している。この場合、権益救済の迅速性が高まる反面、請求権の濫用や制度の悪用が急増する可能性が指摘されている。

政治圏でも、虚偽・悪質な民願に対する具体的な対策が必要だとの声が上がっている。キム・サンフン議員は『時事ジャーナル』に対し、「行政審判請求権の濫用を防ぎ、善良な国民が制度の恩恵を享受できるようにするため、対策を強化する必要がある」と述べ、「行政審判を一定基準以上で大量に請求する場合、受付手数料を課す方法や、悪質な請求人に対しては過料を科す方法も検討できる」と提言した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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