約30年にわたって家庭内暴力を受け続けた末、父親を鈍器で殺害した30代男性に対し、検察は懲役15年を求刑した。
韓国法曹界によると4月22日、ソウル西部地裁・刑事合議第12部(チェ・ジョンイン裁判長)で開かれたA被告の「尊属殺人」に関する結審公判で、検察は懲役15年を求刑した。
検察は「被告は、“30年以上にわたり父から暴言や暴力を受け続け、事件当時は怒りを抑えきれず犯行に及んだ”と自白している」としながらも、「本事件は極めて凶悪な尊属殺人であり、家族という共同体の倫理と秩序を著しく損なう重大な犯罪だ」と説明した。
これに対しAは最終陳述で、「30年以上にわたり、母と私に向けられた父の暴力と暴言に耐えてきました。成人後もがんを患う母を一人残して家を出ることができず、耐えながら生活してきましたが、犯行当日、瞬間的な怒りを抑えきれませんでした」と述べた。
さらに、「母を守りたかった」と語り、「愛する母の息子としてやり直す機会をいただけるなら、社会の一員として最善を尽くして生きていきたい」と裁判所に訴えた。
弁護人も最終弁論で、「これまで前科が一切ないこと、家族や友人、教師など周囲の人々が情状酌量を求めていること、母親を支えたいという強い意志があることを考慮し、寛大な判決をお願いしたい」と述べた。
被害者の妻でAの母も、公判に証人として出廷した際、「息子の処罰は望んでいません」と述べ、裁判所に寛大な判断を求めていた。
Aは昨年10月27日午後、ソウルの自宅で70代の父が母に酒代を要求し、暴言を浴びせたことに激昂。鈍器で殴打して殺害した疑いが持たれている。
Aに対する判決は5月12日に下される予定だ。
(記事提供=時事ジャーナル)
前へ
次へ