韓国最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前代表の公職選挙法違反容疑に関する上告審が、大法院(最高裁)の全員合議体の判断を受けることになった。
これはチョ・ヒデ大法院長によって電撃的に決定された。
チョ・ヒデ大法院長が大法官たちの意見を聴取した後、全員合議体で審理する必要があると判断し、合議期日に回付されたとされている。
大法院長を含む大法官は総勢14人。このうち、チョン・デヨプ法院行政処長を除いた残りの大法官たちが、全員合議体で李在明前代表の公職選挙法違反事件を審理・判決することになる。
しかし、変数が生じた。中央選挙管理委員長を兼任するノ・テアク大法官が、本件に対して忌避申請を行ったためだ。ノ・テアク大法官は、選挙管理業務を担当する中央選管委員長が選挙法事件を審理する場合、利害衝突が発生し得ると理由を説明した。
ノ・テアク大法官の忌避申請について、法曹界では意見が二分している。
まず、裁判開始前に“余計な雑音を避ける”という観点から、適切な決断だったという評価がある。
今年初めに高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領を捜査した際、「内乱罪」の項目も扱って論議を呼んだ経緯がある。国民的な関心の高い事件であるため、ノ・テアク大法官もこうした政局の空気を意識したのではないかという見方だ。
また、公職選挙法第270条が上告審を3カ月以内に終えるよう定めていることからも、論争が予想される要素を除いて迅速に審理を進める必要があるという点が、忌避申請の背景として挙げられている。
一方で、中央選管委員長が選挙法事件を審理することが、「どのように利害衝突と結びつくのか疑問」とする声もある。
憲法裁判所で尹前大統領の弾劾審判が行われた際、一部の裁判官がメディアやネットユーザーから激しい非難を浴びていたことから、ノ・テアク大法官が心理的に萎縮し、それが実質的な忌避の理由ではないかという推測も出ている。
刑事事件専門のキム・テリョン弁護士は「どのような結論が出ても、大法官たちはプレッシャーを感じているはずだ。尹前大統領の事件を審理していた憲裁裁判官たちを見て、大法官たちも様々なことを感じたのだろう」と述べた。
ノ・テアク大法官の忌避申請は4月22日に認められ、チョ・ヒデ大法院長を含む12人の大法官が李在明前代表の事件を審理することになった。
李在明前代表の公職選挙法事件が全員合議体で審理されることは、司法的にどのような意味を持つのだろうか。
彼が有力政治家であるがゆえに注目が集まる面もあるが、今後発生し得る選挙法関連事件に対するガイドラインとしての役割を果たす点でも意義があるという評価が出ている。
全員合議体では、大法官全員の意見が100%一致することはほとんどない。まず多数決で事件の結論を定め、その後に少数意見を補足する形で判決文が作成される。
この過程では、大法官間の激しい攻防が予想される。小法廷で結論を下さず、全員合議体に事件が回付されたこと自体が、簡単には決着できない事件であることを意味している。つまり、それだけ事件が持つ波及力と影響力が大きいということだ。
大法官らの身辺保護も必要だという声もある。1月のソウル西部地裁での騒動の際、尹前大統領の拘束を決定した裁判官が襲撃されかけた事例があり、類似の事件が再発する可能性があるためだ。
裁判所内での所持品検査の強化や、裁判所周辺での集会・デモの一部制限といった措置も検討すべきだという主張が出ている。
憲法裁判所で尹前大統領の弾劾審理が行われたときと同様、大法官たちの慎重な審理が長引けば長引くほど、様々な憶測が飛び交うことになるだろう。検察出身のアン・ヨンリム弁護士は「尹前大統領の事件を審理していた際、憲裁裁判官たちが外部との接触を最小限に抑えたように、大法院も情報管理に細心の注意を払うはずだ」と述べた。
一方、大法院全員合議体は4月24日に李在明前代表の公職選挙法違反容疑に関する上告審の第2回合議期日を開く予定だ。
(記事提供=時事ジャーナル)
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