「どうせ大統領は李在明」という雰囲気のなか、保守の候補たちが激しく対立…あきらめムードも?【韓国大統領選】

2025年04月21日 政治 #時事ジャーナル
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6月3日の韓国大統領選の幕が上がるなか、保守系候補たちが「李在明(イ・ジェミョン)の対抗馬」を選ぶための激しい争いを繰り広げている。

【注目】「鳥肌が立つほどセクシー」李在明への“賛美歌”

候補同士の激しい競争により、予備選自体の注目度は高まっているが、一方で保守陣営内の混乱を懸念する声も多い。

特にハン・ドクス大統領権限代行兼国務総理をはじめ、与党「国民の力」の院外候補への「待望論」が次々に浮上し、保守陣営内の混乱はさらに深まっている。

このままでは、いわゆる「反李在明ビッグテント(大連合)」の構築までには少なからぬ紆余曲折が続くと見られる。

「国民の力」の予備選、雑音相次ぐ

李在明候補
(写真=時事ジャーナル)李在明候補

「素のままか、補正下着を着けているのかという質問があるが…」(ホン・ジュンピョ候補)

「私は特別活動費を家に持って帰った経験すらないじゃないか」(ハン・ドンフン候補)

「予備選B組の討論はまさに“歴代級の自爆討論”だった」(アン・チョルス候補)

「他人の巣に卵を産みつけるカッコウはもうやめてくれ…」(ナ・ギョンウォン候補)

4月19~20日に開かれた「国民の力」の大統領選予備選A・B組の討論会では、候補たちが尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の「弾劾賛成派」と「弾劾反対派」に分かれ、激しい口論を交わした。本選さながらの攻防が続くなかで、候補たちはその後のメディアインタビューでも互いに対するネガティブ発言(誹謗)を遠慮なく展開している。

党としては、熱を帯びた予備選の盛り上がりが「コンベンション効果」(政治イベント後に支持層が結集する現象)につながることを期待する雰囲気だ。

いわゆる「オ・デ・ミョン(どうせ大統領は李在明)」の構図が固まった最大野党「共に民主党」の予備選に比べ、「国民の力」の予備選結果は予測が難しく、国民の関心と注目度をさらに集めるだろうという分析からだ。

しかし、副作用を懸念する声も多い。候補者たちが政策競争よりネガティブに集中することで、「予備選のレベルが低下した」という評価だ。

さらに、弾劾の賛成派・反対派の意見の相違が赤裸々に生中継されることで、今後「保守の大結集」の大義名分が損なわれたとの批判も出ている。

左からイ・チョルウ、ナ・ギョンウォン、ホン・ジュンピョ、ハン・ドンフン
(写真=国会写真記者団)左からイ・チョルウ、ナ・ギョンウォン、ホン・ジュンピョ、ハン・ドンフン

ハン・ドンフン陣営の特報団長であるキム・ジョンヒョク元最高委員は、前日、自身のフェイスブックに「(大統領予備選B組の)討論を見たが、呆れた」とし、「もっと真剣かつ激しくあるべきだ。お願いだからレベルを上げてほしい」と指摘した。

匿名を求めた「国民の力」のある初当選議員も「『自分のほうがより良い候補だ』という競争であるべきなのに、誰がより“親尹”で“反尹”かを競う明快性の競争になっている」とし、「このように互いに傷をつけあっていれば、本選では共に民主党が漁夫の利を得るだけだ」と批判した。

一部では、「オ・デ・ミョン」構図が強まるなか、一部の候補が大統領選の勝利ではなく、次期党権掌握を意識し、大統領選へのメッセージではなく党員向けの主張に集中しているという見方も出ている。

シン・インギュ「政党を正しく立て直す会」代表は、「今回の国民の力の予備選の目的は、次期大統領候補を選出して勝つというよりは、今後の党権をめぐる争いにある」とし、「特に弾劾反対派は“ハン・ドンフン叩き”に集中し、尹錫悦前大統領への忠誠心を示すことに力を入れている」と述べた。

大統領選前に“第3極”がざわめく

予備選後の世論調査は発表されていないが、最近公表された世論調査では、「国民の力」に対する世論の反感が表れている。

「国民の力」の政党支持率は下落し、政権交代を望む世論が増加している傾向だ。

リアルメーターが4月16~18日、全国18歳以上の有権者1504人を対象に政党支持率を調査した結果、「共に民主党」の支持率は48.7%、「国民の力」は32.9%と集計された。15.8ポイントの差で、前週の13.6ポイントから2.2ポイントさらに開いた形となった。

次期大統領選での政権勢力に関する支持調査でも、「政権交代」が59.9%と前週比1.2ポイント上昇し、「政権維持」は34.3%で前週比1.0ポイント下落した(信頼水準95%、標本誤差±2.5ポイント、無線100%自動応答方式、回答率6.6%)。

こうしたなか、「国民の力」の院外候補たちも次々に出馬表明を行い、保守の分裂は加速している様相だ。「審判役」とされるハン・ドクス権限代行は出馬説に包まれ、「選手」として出る可能性も取り沙汰されており、反弾劾集会を主導するサラン第一教会のチョン・グァンフン牧師も出馬を宣言した。

ハン・ドクス権限代行
(写真=大統領室写真記者団)ハン・ドクス権限代行

改革保守陣営では、ユ・スンミン元議員が予備選をボイコットした後、「第3極」での出馬を検討しており、イ・ジュンソク「改革新党」候補は「完走」を目標に出馬を表明した。ホ・ウンア元「改革新党」代表も無所属での出馬を準備していると伝えられている。

大統領選まで残り43日となるなか、弾劾の賛成派・反対派、「強硬保守」から「改革保守」まで、大統領の座を目指して次々と出馬表明が相次ぎ、「反李在明ビッグテント」の計算はさらに複雑化している。

「国民の力」の指導部としては、本選候補が確定し、李在明候補との一対一構図が完成すれば、保守の大結集が本格化すると期待しているようだ。そのために、党籍に関係なく「大統領・李在明」に反対するすべての勢力と手を組む方針を打ち出している。

クォン・ヨンセ「国民の力」非常対策委員長は4月21日、国会で開かれた非常対策委員会会議で、「今日、国民の力は党の門を再び大きく開く」とし、「大韓民国を守ろうという意志があり、自由と憲法という大義に賛同する方なら、誰であれ共にする」と述べた。

彼はまた、「共に民主党の李在明勢力による国政破壊と国家混乱を食い止める唯一の道は、より広く、より強固な自由勢力の結集しかない」とし、「それぞれの過去を果敢に振り払い、国の未来と国民の自由を守る“責任の連合”に参加すべきだ」と訴えた。

(記事提供=時事ジャーナル)

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