ガールズグループTWICEが人気だ。
6月28日に発売した日本デビューミニアルバム『#TWICE』は販売数20万枚を突破。デビュー直後から朝の情報番組や『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に出演するなど注目を浴びている。
彼女たちの人気の一因は外国人メンバーにあると言われている。日本人メンバーのミナ・サナ・モモと台湾人メンバーのツウィは、その頭文字を取って「ミサモツ」と呼ばれ、ファンからの支持率も高い。
もっとも、外国人メンバーが活躍しているK-POPアイドルグループはTWICEだけではない。
TWICEに続いて日本で話題を呼んでいるBLACK PINKにはタイ人メンバーがいるし、ボーイズグループを見てもGOT7には台湾系アメリカ人やタイ人、SEVEN TEENにはアメリカ人や中国人メンバーがいる。
今や多国籍K-POPグループは珍しいことではなく、むしろ現在のK-POPでは「必須オプションだと言ってもいいほど普遍化している」(『ヘラルド経済』)状況だ。
そもそもK-POPアイドルグループの多国籍化が始まったのは2001年のことだった。
この年、東方神起や少女時代が所属するSMエンターテインメントは中国でオーディションを開催し、SUPER JUNIORの中国人メンバーとして活躍したハンギョン(2009年に脱退)を発掘。2005年にグループをデビューさせている。
さらに2008年には中国人のチョウミ、中国系カナダ人のヘンリーを追加加入して「SUPER JUNIOR-M」を結成し、これまでになかった中華圏ユニットというコンセプトで人気を獲得している。
他の芸能事務所もこの流れに追随した。例えばJYPエンターテインメントは2008年に2PMにタイ系アメリカ人であるニックンを加入させ、2010年にはmiss Aの一員として中国人メンバーのフェイとジア(2016年脱退)をデビューさせている。
こうした中で現在の状況があるわけだが、なぜK-POPグループは多国籍化を進めているのだろうか。韓国の芸能プロダクション関係者はこう語る。
「中国市場など海外の市場が大きいため、アイドルは海外活動を念頭に置かざるを得ないのですが、韓国人メンバーだけで構成するよりも、外国人メンバーが含まれていた方が現地の反応を獲得しやすい。自国のメンバーがいるとなると、否が応でも関心を持つので、グループ全体に肯定的な影響を与えるのです」
外国人メンバーの影響力は、日本人メンバーがいるTWICEが現在日本で大注目を浴びていることを見ればわかりやすいだろう。
また日本以外に目を向けても、中国人メンバーを含むガールズグループ宇宙少女は中国でのデビューショーケースが現地メディアで大きく扱われているし、GOT7のタイ人メンバー・ベンベンはタイを訪れると空港にファンが詰めかけるほどの人気を見せている。
ちなみに日本でも2016年にはAKB48に台湾人の馬嘉伶が加入しているが、彼女もデビュー直後から台湾でニュースに取り上げられていた。
こうした現象について韓国メディア『文化日報』は「イ・ビョンホンが出演したハリウッド映画が韓国での需要が大きいことと同じ」と例えている。
外国人メンバーが与えるメリットは現地の反応の得やすさだけではない。
前出の芸能プロダクション関係者は「アイドルグループが海外に進出しようとすると、中国語や日本語のレッスンを受けますが、外国人メンバーが含まれていれば、韓国人メンバーが言語を習得しやすくなり、言語のハードルが下がるのも大きい」と話す。
かつてK-POPブームをけん引した少女時代やKARA、東方神起が日本で成功した一端には、彼らの十分な日本語力があったという分析もあるだけに、この証言には説得力がある。
現在、TWICEが多くのテレビ番組で取り上げられているのも日本語での受け答えができるという点に一因があると言えるだろう。
ただ、こうしたセールスポイントがある反面、外国人メンバーの加入には特有のリスクが伴うのも事実だ。
次回はK-POPグループ多国籍化の“影の側面”について紹介したい。
【次回】K-POPアイドルグループ“多国籍化”の光と影②特有のリスクとトラブル前へ
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