「我が党は中道保守の立場を担わなければならない」
韓国大統領選の有力候補である「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前代表が、大統領選レースの序盤から「選択的募兵制」などの国防に関する公約や「セジョン(世宗)市への首都移転」を掲げ、“キャスティングボート”とされる青年層や忠清の中道層の票を狙って全力を注いでいる。
その一環として、李在明前代表は4月18日に大邱を訪れ、中道保守層への存在感をアピールする予定だ。
こうした努力が功を奏し、最近の各種世論調査では中道層の約半数から支持を得ている。
李在明前代表は4月17日、大田の国防科学研究所を訪れた現場で記者団に対し、「選択的募兵制」の公約を示唆した。彼は「何十万人もの若者を兵営に閉じ込める伝統も大切だが、それがはたして効率的なのかを考えるべきだ」と述べ、「(選択的募兵制は)前回の大統領選でも述べたように、徴兵制と募兵制の長所を組み合わせたものだ」と説明した。
また、「今は完全に武器体系によって勝敗が決まる時代になった。若者たちに単純で反復的な訓練をさせるのではなく、複合的な武器体系についての専門知識を身につけさせたり、研究開発に参加させたり、除隊後もその分野に進めるようにしたりする必要がある」と述べ、選択的募兵制の必要性を改めて強調した。
同日、「国防」に関する公約も発表した。
李在明前代表は、「K-防産(K-防衛産業)」をスローガンに掲げ、「韓国を世界4大防衛産業強国にする」と公約した。具体的には、AI(人工知能)を活用した先端技術を武装した防衛産業輸出のコントロールタワー新設、大統領主宰の防衛産業輸出振興戦略会議の定例化、政策金融体制の再編などの施策を提示した。
彼はフェイスブックでも「国産の対空防御武器体系と超大型先端弾頭技術は、北朝鮮の相次ぐ核ミサイルの脅威にも屈しない“強固な安保”の核心資産だ」とし、「K-防産は半導体、二次電池、未来型自動車と並び、韓国経済を牽引する次世代の成長エンジンになる」と強調した。そして「そのためには、政府全体による支援体制の強化が不可欠だ」と訴えた。
さらに「首都セジョン」の公約も再び明言した。
続くフェイスブックの投稿で、「忠清は国土の中心であり、首都圏と南部圏をつなぐ戦略的な要衝だ。忠清の心臓が脈打ってこそ、大韓民国の経済も活性化する」と述べ、「均衡ある発展の中心地・忠清を行政・科学の首都に育て上げる。任期中に国会セジョン議事堂と大統領セジョン執務室を建設する」と約束した。
さらに、「社会的合意を経て、国会本院および大統領執務室のセジョン完全移転を推進し、現在中断されている公共機関の移転も早急に再開する」と述べ、「セジョンを名実ともに行政首都へ、大田を世界的な科学都市へ。忠北は未来産業の中心地に、忠南は環黄海圏の拠点として完成させる」と強調した。
このように、大統領選のスイングボート層である青年と忠清地域の票を押さえた李在明前代表は、4月18日に大邱市北区にあるテヒョン図書館を訪問する予定だ。
ここで文化コンテンツ業界関係者と会い、「Kコンテンツ」とソフトパワー強国のビジョンを語るとみられている。テヒョン図書館は、大邱初のウェブトゥーン特化図書館であり、全国初のウェブトゥーン・スマート図書館として知られている。
一連の動きは、4月19日の忠清、20日の嶺南で予定されている党内予備選の合同演説会に向けた布石であると同時に、将来的な本選における中道保守層の取り込みを意識した戦略とみられている。
これまでも李前代表は「中道保守論」を掲げ、中道層をターゲットに「チャルサニズム(=よく生きる主義)」や「黒猫白猫論(ネズミさえ捕まえれば猫の色は関係ない)」といったキーワードを繰り返し強調し、派閥やイデオロギーを超えた「実用主義」路線を打ち出してきた。
こうした李在明前代表の戦略は、世論調査の数値にも表れている。
最近の韓国ギャラップの調査では、自身のイデオロギー的立場を「中道」と答えた回答者のうち42%が、支持する候補として李在明前代表を挙げた。これは前回の調査よりも4ポイント上昇した数値だ。
特に、保守陣営の主要人物であるキム・ムンス前雇用労働部長官(5%)、ホン・ジュンピョ前大邱市長(6%)、ハン・ドンフン前「国民の力」代表(3%)、ハン・ドクス大統領権限代行(1%)の中道層での支持率を合計した数字と比べても、約3倍に達している。
この調査は4月8~10日、全国18歳以上の有権者1005人を対象に、無作為に抽出された携帯電話仮想番号を用いた電話調査員によるインタビュー形式で実施された。標本誤差は95%信頼水準で±3.1%ポイント、回答率は14.9%だ。
(記事提供=時事ジャーナル)
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