小児医療人材・施設が足りない…韓国で意識低下・呼吸困難の10歳児が「12病院に受け入れ拒否」されたワケ

2025年12月17日 社会 #時事ジャーナル
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12月15日、韓国・釜山(プサン)のとある小児科で、10歳の子どもが点滴投与中に意識低下と呼吸困難の症状を示して倒れた。

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病院側は直ちに119番(救急)に通報したが、119救急隊は子どもを受け入れる病院を探す過程で、12カ所から「受け入れ不可」の回答を受けた。最終的に13回目の連絡で、釜山鎮区(プサンジング)のとある病院へ搬送することができた。

このような事例は、韓国で一般的に「救急室ペンペンイ(たらい回し)」と呼ばれ、救急室の病床や医療スタッフ不足の問題として解釈されることが多い。

しかし医療界では、特に小児患者の場合、問題の本質は一般救急室ではなく、小児集中治療室(PICU)や小児専門人材の不足にあると指摘している。

龍仁(ヨンイン)セブランス病院・救急医学科のイ・ギョンウォン教授は、「報道された内容を総合すると、今回のケースは小児集中治療室への入院が必要な状況であった可能性が高い」とし、「転院要請を受けた地域内の大学病院や総合病院は、小児集中治療室の病床や人工呼吸器などの重症患者治療設備の稼働状況、小児青少年科専門医の人員体制を総合的に考慮したうえで、受け入れ可否を判断したはずだ」と説明した。

救急医療センター
(写真=時事ジャーナル)

韓国の現行法では、119救急隊が患者を搬送する前に、病院の受け入れ可否を確認することが義務付けられている。

しかし最近、国会に提出された「救急医療に関する法律」改正案には、この手続きを削除し、119救急隊または119救急状況管理センターが病院を職権で選定できるようにする内容が盛り込まれている。

これに対し、大韓救急医学会は先月発表した声明で、「救急室のたらい回しを減らすために受け入れ能力の確認を廃止することは、現実的には救急医療の空白や患者の安全低下を招く恐れがある」とし、「少数の救急医療機関の前に救急車が集中し、長時間待機するという、別の混乱を引き起こす可能性がある」と指摘している。

(記事提供=時事ジャーナル)

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