日本では最近、SNSの「フォロワー」や「いいね」の数がアイドルやグラドル、コスプレイヤーを起用するひとつの指標になっているという。
SNSを通じて世間に大きな影響を与える“インフルエンサー”は、たしかに目に見える数字(=ファン)を持っているので、テレビ番組や雑誌のキャスティングを担当する者にとっては無視できない存在であるし、企業側がそのネームバリューや発信力を活用しようと思うのも不思議ではない。
実際、韓国でもブログやSNS内で大きな影響力を持つ人インフルエンサーが多い。韓国にはインスタグラムのフォロワー数が1000万人を超える女性芸能人もいるほどだ。
また、アイドルや芸能人でなくとも絶大な人気を集めるインフルエンサーたちもいる。
例えば以前、本欄でもインタビューした“美しきヨガ女神”イ・ユジュは人気インスタグラマーでもある。その発信力に目をつけた企業から、パートナーシップを打診されたこともあるそうだ。
【関連】“黄金比率のヨガ女神”イ・ユジュさんが語った韓国のヨガ事情【再録インタビュー】
また、コミュニケーションアプリ「LINE」の美女UIデザイナーだったコ・ヒョジュなどは、インフルエンサーとして成功したことで、「Gucci」「KIEHL’S」など世界的ブランドからアンバサダーのオファーを受け、大きな収入も得ているという。
マーケティング・コンサル会社ハムシャウト(hahmshout)が発行した『Content Matters 2018』を見ると、韓国におけるインフルエンサーの影響力がよくわかる。
アンケートに答えた1000人のうち、84%がインフルエンサーのコンテンツを通じて1次情報を得ているというのだ。
さらにそのうちの76%が、インフルエンサーが紹介した商品を実際に購入した経験があると答えているほどなのだ。
彼女たちの影響力とこの調査結果を踏まえると、企業側がインフルエンサーをマーケティングに使いたくなる気持ちもわかるような気がする。企業にとってインフルエンサーは、絶好の宣伝マンになってくれるわけだ。
しかも、韓国インフルエンサーのなかには、自分自身が会社を経営者している人も少なくない。
代表的なのが、チョン・ボラムだ。
韓国にはファッション通販サイトを運営する美女CEOが少なくないのだが、彼女のインスタグラムのフォロワー数は41万人にも上る。
ネット上では本名よりも“クロップ姉さん”の愛称が浸透しており、その知名度と美しさを生かして自身が運営するファッション通販サイトの宣伝に参加。サイトで販売している下着や水着も彼女自身がモデルとなって宣伝しているのだから、効果的なのだろう。
だが、その影響力を手軽に手にしようと、日本では「SNSの人気が仕事に繋がる現状を背景に、“フェイクインフルエンサー”を作り出す業者も現れた」(『ORICON NEWS』)というのだから、問題は複雑だといわざるを得ない。
実は韓国でも、お金を支払ってフォロワーを増やす“フェイク・インフルエンサー”が徐々に増えているともいわれている。
それでもインフルエンサーを活用したマーケティングの勢いは止まりそうにない。
前出の『Content Matters 2018』によると、韓国のマーケティング担当者の4割が「2018年はインフルエンサー・マーケティング予算を増やしていきたい」と考えているというのだから、新たなインフルエンサー探しは今後も過熱しそうな気配でもある。
「いいね」やフォロワーの多さが人気や知名度の高さの判断基準となり、それを売り買いする人や業者まで登場するようになった昨今。インフルエンサーの存在感はますます大きくなりそうだが、本物とニセモノの判別だけはしっかりと見定めておきたいものだ。
文=慎 武宏
*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。
前へ
次へ