朝鮮半島の南北統一は、もはや美辞麗句にすらならないのかもしれない。
北朝鮮との統一を「必要だ」と考えている韓国国民は10人に4人もおらず、若い世代ほど統一に対して否定的な認識が強まっていることが明らかになった。
また北朝鮮に対する敵対意識は、2021年の11.2%から2022年の13.6%、2023年の18.6%と上昇し続け、2024年22.3%と調査開始以来、最高値となった。
ソウル大学の統一平和研究院が10月2日、韓国ギャラップ社の協力で7月1日から23日にかけて、全国満19歳以上の成人男女1200人を対象に1対1の面接調査を行った結果を発表した。
その「2024統一意識調査」によると、「統一は必要ない」との回答は「まったく」と「あまり」を合わせて35.0%に達した。これは2007年の調査開始から最も高い割合だ。
反対に「統一は必要」と答えた割合は「とても」と「少しは」を合わせて36.9%で、過去最低だった。
若い世代ほど、統一の必要性を感じていない。20代(19~29歳)では、「統一は必要ない」が47.4%で半数近くに上り、「必要だ」は22.4%にとどまった。30代でも「必要ない」45.0%、「必要だ」23.9%となった。
では、なぜ統一に対して否定的なのか。主な理由としては、「統一に伴う経済的負担」(33.9%)が最も多く、「統一後に生じる社会的問題」(27.9%)、「南北間の政治体制の違い」(19.2%)などが挙げられた。
また、そもそも「統一は不可能」という回答も39.0%で過去最高を記録。20代の45.1%と30代の43.1%が「不可能」と答えており、40代(35.8%)、50代(34.7%)、60代(38.3%)よりも高い結果となった。
統一平和研究院のキム・ボムス院長は「ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権発足以降、南北間の対立と緊張が続いている状況で、統一の必要性や可能性に対する否定的な認識が全体的に増加している」と分析した。
韓国の憲法には、前文に「祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚」と明記されており、第1章の第4条には「大韓民国は統一を指向し、自由民主主義的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立しこれを推進する」とも書かれている。
だが今回の調査結果を見る限り、もはや統一は建前としても成立しないほど、南北統一は遠いものとなっているようだ。
そもそも“お相手”である北朝鮮も最近、統一という理念を捨てたと思われる。
同国は今年に入って国歌の歌詞の一部を変更し、朝鮮半島全体を指す「三千里」という単語を削除した。以前までは「三千里の美しいわが祖国」だったが、「この世界美しいわが祖国」へと変更された。もはや韓国を一時的に分かれた「南朝鮮」ではなく、「他国」と見なしているわけだ。
今後、国際情勢や政権交代で現在の「脱・統一」の雰囲気に変化が生まれるのか注目したい。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
前へ
次へ