韓国の新しい歴史教科書といえる「国定」歴史教科書の“検討本”が、11月28日に公開された。公開されたのは、中学の「歴史①」「歴史②」、高校の「韓国史」の教科書だ。
国定歴史教科書の“検討本”はネット上でも全ページが公開されている。教科書の中身を見ていこう。
最も注目されているのは、1948年を「大韓民国樹立」と記述していることだ。これまでの教科書で同年は「大韓民国“政府”樹立」となっていた。韓国の建国年を1919年とする見方が強いなかで、かなり思いきった変更といえるだろう。
また、「朝鮮民主主義人民共和国樹立」という表現は「北韓政権樹立」と修正されている。
朝鮮戦争の勃発の原因についても、現行の教科書では南北の共同責任ともとれる資料を使っていたが、新しい教科書では「北韓の南侵にはソ連と中国が深く関与していた」「(北韓は)体系的な戦争準備に突入した」としながら、「1950年6月25日夜明け、北韓は38度線全域で不法的に奇襲南侵した」(高校「韓国史」)と明記した。資料としても、ソ連から北朝鮮軍に渡ったという「先制打撃計画」を掲載している。
日本と関係する部分でも修正点が少なくない。
日本との領土問題について、現行の教科書では「東海(日本海の韓国呼称)」に関する記述が少なかったことから、新しい国定教科書では、歴史的な資料とともに「東海」の正当性について記述しているという。
高校の「韓国史」を見てみると、小タイトル「隣接国との歴史葛藤と平和・共存のための努力」のなかで「独島と東海」という記述がある。独島は竹島の、東海は日本海の韓国呼称だ。
竹島が韓国領である根拠については、以下のように書かれている。
「日本を占領統治した連合国最高司令官は1946年1月覚書(SCAPIN)第677号を交わし、日本に対して敗戦直前まで支配した国外のすべての地域の政治、行政上の権力行使を停止させ、鬱陵島と独島、済州島が韓国の領土であることを確認した」
また、日本海については「“東海”という名称は広開土大王陵碑をはじめ『三国史記』『高麗史』『朝鮮王朝実録』など多くの文献で記録されているように、我が民族が2000年以上使ってきた」と記述。広開土大王の王碑の写真も掲載している。そして「国際社会では徐々に東海を併記する事例が増加している」と締めくくった。
その他の変更点としては、「歴代政府に関連した叙述は、産業化時期の大韓民国の経済発展に対して肯定的な内容が増えた」(『聨合ニュース』)そうだ。
韓国のネットの反応を見ると、「廃棄しろ、一日も早く」「これもすべて大統領をちゃんと選べなかった結果だ」「お金を使って誰がクソを作れと言ったんだ」「子どもたちの教育にゴミを使うな」などと、非難の声ばかりということがわかる。
やはり、韓国の樹立を1948年と明記したことが原因だろう。国定の歴史教科書は最終的に、2017年1月末に完成する予定だ。
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