内乱罪の“被疑者”となった尹大統領の「盾」はもう使えない…四面楚歌となった韓国ファーストレディ

2024年12月12日 政治 #時事ジャーナル
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「12・3非常戒厳事態」を引き起こした尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の妻、キム・ゴンヒ夫人が窮地に追い込まれている。

【注目】なぜキム・ゴンヒ夫人は“転落”したのか

野党が4回目の「キム・ゴンヒ特別検察法(特検法)」を発議し、大統領夫妻に対する世論が悪化するなか、与党「国民の力」の「特検防衛の結束」にも亀裂が入り始めた。

一部では、大統領夫妻が揃って被疑者として検察のフォトラインに立つという不幸な歴史が記されるのではないかとの見方も出ている。

尹大統領の崩れた「拒否権の盾」

学歴詐称疑惑、株価操作疑惑、高級バッグ収受疑惑、公認候補選びへの介入疑惑など、尹大統領就任後も「選ばれていない権力」とされるキム・ゴンヒ夫人をめぐる騒動は絶えなかった。

特に、関連する捜査や取材が続くなかで、疑惑が完全には解消されていないにもかかわらず、彼女が「静かな内助」に徹しなかったことに対して、野党だけでなく与党内からも不満の声が上がった。

世論の悪化を受け、尹大統領が国民に謝罪する場面もあった。しかし、彼が「キム・ゴンヒ特検法」に対する防御を放棄することはなかった。

キム・ゴンヒ夫人(左)と尹錫悦大統領
(写真=OSEN)キム・ゴンヒ夫人(左)と尹錫悦大統領

尹大統領は、野党が「政治的思惑の特検」を試みていると見ていた。そのため「キム・ゴンヒ特検法」に対し、再議要求権(拒否権)を相次いで行使し、与党も尹大統領の意向に従って否決を後押しした。こうして「キム・ゴンヒ特検法」は3度にわたり廃案となった。

しかし「12・3非常戒厳事態」以降、状況は変化した。

尹大統領が「内乱罪の被疑者」として立件され、「植物大統領」の状態に陥ったためだ。拒否権自体は大統領固有の権限として行使可能だが、非常戒厳事態後に尹大統領が一線を退くと宣言したなかで拒否権を行使すれば、野党や世論の激しい反発に直面するのは避けられないというのが、政治界の一致した見解だ。

こうして大統領の権限は依然として尹大統領にあるものの、事実上は行使できないというジレンマに陥っている。

「特検防衛」の結束に亀裂が生じた与党

与党の「特検防衛の結束」にも亀裂が入り始めた。

12月7日、3回目の「キム・ゴンヒ特検法」が否決された際、全議員300人中賛成198票、反対102票という結果が出た。投票に参加した野党系議員の議席数は192席であることを踏まえると、与党「国民の力」からも反対という党論に逆らい、6票の賛成票が出たことになる。

もし賛成票があと2票多ければ、「キム・ゴンヒ特検法」は可決されていた。

最大野党「共に民主党」は12月9日、4回目の「キム・ゴンヒ特検法」を発議した。この特検法は、キム・ゴンヒ夫人に関連する15件の疑惑を捜査対象としている。「共に民主党」が1人、非交渉団体が1人の特検候補を推薦し、大統領が1人を任命する形式だ。

「共に民主党」はこの「キム・ゴンヒ特検法」を12月12日の本会議に上程し、票決する計画だ。

「特検危機」を前に姿を消したキム・ゴンヒ夫人

キム・ゴンヒ夫人(左)と尹錫悦大統領
(写真=Penta Press/アフロ)キム・ゴンヒ夫人(左)と尹錫悦大統領

「12・3非常戒厳事態」と絡み、キム・ゴンヒ夫人への世論も悪化している。

彼女の母校であるソウルの明逸(ミョンイル)女子高の在校生たちは12月10日、「大統領夫妻は明逸女子高の学生をこれ以上、辱めないでほしい」と、尹大統領夫妻を批判する内容の張り紙を学校に掲示した。

生徒たちは張り紙を通じて「キム・ゴンヒ先輩、お元気ですか。私たちは元気ではありません」とし、「あなたが明逸の痕跡を消そうとすればするほど、国政に関与すればするほど、大統領の戒厳令を恥じないでいればいるほど、あらゆる賄賂を受け取れば受け取るほど、私たちは明逸をさらに恥じることになるでしょう」と書いた。

さらに「どうか民主的で良心的に行動し、私たち後輩が恥ずかしくない学校を卒業できるようにしてください」と訴え、「愛する明逸の名のもとに叫びます。尹錫悦を弾劾し、尹錫悦は辞任してください」と主張した。また、「株価操作や公認候補選びへの介入など、不正そのもののキム・ゴンヒを逮捕せよ」と求めた。

「12・3非常戒厳事態」前から公式活動を中止していたキム・ゴンヒ夫人は、ここ2カ月近く完全に姿を消している。

この間、キム・ゴンヒ夫人が機密性・秘匿性の高いメッセンジャーアプリ「テレグラム」のアカウントを削除したことが確認された。一部では、キム・ゴンヒ夫人が尹大統領や大統領室の高官らとともに、捜査に備えているとの見方も浮上している。

(記事提供=時事ジャーナル)

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