もし弾劾が失敗したら“国民の手”で大統領の任期を終了させる…韓国野党が検討する「Bプラン」とは

2025年01月08日 政治 #時事ジャーナル
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尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾をめぐる政局のなか、「共に民主党」や「祖国革新党」をはじめとする野党議員が「弾劾失敗」の可能性を見据え、密かに「プランB」を検討していることが確認された。

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この「プランB」の核心は、国民投票が必要な憲法改正附則を通じて、尹大統領の残りの任期を国民の手で強制終了させる戦略だ。

もちろん、憲法裁判所の「8人体制」のピースが揃い、尹大統領の弾劾事由に関する状況証拠も捜査を通じて次々と明らかになっているため、野党側も弾劾失敗の可能性は低いと見ている雰囲気だ。

しかし万が一、尹大統領が起死回生して職務に復帰した場合、いつでも「第二の非常戒厳」を宣言する可能性があるとの懸念から、対策を徹底的に講じるべきとの判断に至った。

野党5党、「弾劾失敗」シナリオ別の対策

本サイト提携メディア『時事ジャーナル』の取材を総合すると、野党5党(共に民主党、祖国革新党、進歩党、基本所得党、社会民主党)所属の議員41人で構成された「尹錫悦弾劾国会議員連帯(弾劾議員連帯)」は最近、毎週開催される会合で弾劾政局の懸案事項に加え、「大統領弾劾失敗」の可能性に対する対策まで密かに議論していることがわかった。

尹錫悦大統領
(写真=韓国大統領室)尹錫悦大統領

弾劾議員連帯は、共に民主党所属のパク・スヒョン議員と祖国革新党所属のファン・ウンハ院内代表が共同代表を務めている。

現在までに議論された対策は、「憲法改正」に焦点を当てている。憲法を改正するには、3つの大きなハードルを超える必要がある。

①国会の在籍議員の過半数(151人)または大統領が憲法改正案を発議し、②国会の在籍議員3分の2(200人)以上が賛成して議決し、③国会議員選挙権者の過半数が参加する国民投票を実施する、というのが憲法で定められた改正手続きだ。その後、国民の過半数が賛成すれば憲法改正が最終的に成立する。

これに関連し、弾劾議員連帯所属の祖国革新党議員たちは、憲法改正を通じて「5・18民主主義」の精神を前文に盛り込むと同時に、附則として「非常戒厳」という内乱を引き起こし、民主主義の危機を招いた尹大統領の任期を即時終了させる内容を盛り込むべきだと主張しているとされる。

結局のところ、憲法改正の必須条件である「国民投票」のプロセスを経ることから、国民の手で大統領の任期を終了させるという意味で、「国民弾劾」という名称を付与する考えだ。

祖国革新党指導部の核心関係者は『時事ジャーナル』に対し、「国民が弾劾するにあたって、憲法裁判官の判断だけを見守るしかないという焦燥感がある。自分の手で投票して大統領の任期を終わらせたいという意志は明確だ」と述べた上で、「もちろんこのような事態に至らないことを望むが、国会や野党レベルでも憲法裁判所の決定だけに頼らず、様々な対策を準備している。我々の党だけでなく、共に民主党をはじめとする弾劾議員連帯の議員たちも大部分が共感している」と強調した。

尹錫悦大統領の退陣を求めるデモ
(写真=時事ジャーナル)尹錫悦大統領の退陣を求めるデモ

ただし、この憲法改正案は、与党が推進する「帝王的大統領制の解消」など権力構造改革を目的とした憲法改正とはまったく異なるものだというのが野党側の立場だ。

与党「国民の力」は、非常戒厳事態後の弾劾政局に突入してからようやく「憲法改正」の必要性を強調しているようだ。クォン・ソンドン院内代表は、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表と12月18日に会談し、「大統領中心制がはたして我々の現実に合っているのか検討する必要がある」と述べた。

野党は、このような憲法改正の試みが弾劾政局における「内乱鎮圧」という論点をぼかす恐れがあるとして、一線を画している。

これ以外にも、弾劾議員連帯内部では様々な対策が議論されていると伝えられている。以前、弾劾議員連帯所属のキム・ヨンミン共に民主党院内首席副代表も『時事ジャーナル』とのインタビューで「弾劾局面に関連した『プランB』シナリオ戦略も検討している」と述べ、「弾劾局面では憲法裁判所の判決や法理的要素など、様々な変数が発生し得るが、その局面をどのように解決していくかに関するシナリオ戦略だ」と示唆したことがある。

「8人体制」の憲法裁判所で弾劾失敗の可能性はゼロか?

尹大統領の弾劾の可否を判断する憲法裁判所は、チェ・サンモク大統領権限代行の決断により、「8人体制」のピースが揃い、尹大統領の弾劾事由に関する状況証拠も続出しているため、そのような選択肢を取る必要性は低いという見方が広がっている。

弾劾議員連帯に所属する共に民主党のある議員は『時事ジャーナル』に対し、「大統領の弾劾事由は明白であり、憲法裁判所が弾劾を棄却した場合、国民世論に耐えられるか疑問だ」と述べ、「憲法裁判所が弾劾を棄却する可能性は10%未満に収束するだろう」と予測した。

実際に憲法裁判所の裁判官の構成を見ると、尹大統領が指名した保守派のチョン・ヒョンシク裁判官と国会与党が推薦したチョ・ハンチャン裁判官を除き、残りの裁判官たちは尹大統領の弾劾を支持する可能性が高いと見られている。

また、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾政局でも、裁判官の思想や不確定要素にかかわらず、「8人全員一致」で弾劾が認められた前例がある。

朴槿恵元大統領
(写真=OSEN)朴槿恵元大統領

憲法裁判所も定例ブリーフィングで、「憲法と法律に基づき、良心に従って独立して審判している」と述べ、「与野党を超え、国民のみを見据えて進んでいく」という意思を明確にした。

チョン・ジェヒョン広報官は「憲法裁判所は主権者である国民の意向に従い、憲法上の紛争を解決し、憲法秩序を守るために設立された裁判機関だ」とし、「憲法紛争を解決するために下す憲法裁判所の決定を新たな憲法紛争の材料にすることは、憲法裁判所を設立した主権者の意向に反するものだ」と強調した。

しかし尹大統領と与党が弾劾に強く反発し、抵抗を続けていることから、今後の弾劾審判の結果を予測するのは難しい状況だ。

特に尹大統領側は、「共に民主党」が弾劾訴追事由の一つである内乱罪を撤回したことについて、「単に二つの訴追理由のうち一つが撤回されたのではなく、弾劾訴追書の内容の約80%が撤回された」と主張し、弾劾訴追の再議決または却下を求めている。

これに対し、国会弾劾訴追団の代理人団は記者懇談会で「訴追事実が変わったことは実質的に何もない」とする反論文を発表した。

彼らは「国会は弾劾訴追事由として、国憲紊乱(憲法秩序の乱れ)の具体的行為、すなわち事実関係を記載している。内乱罪の犯罪を判断してほしいとする弾劾訴追事由は存在しない」と説明した。

そして訴追事由が変更された事実はないため再議決の必要はなく、訴追事実を法的に評価するのは憲法裁判所の固有の権限だと反論した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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