小泉氏か高市氏か 自民党総裁選が韓国に与える影響は少ない?「現段階で最も懸念されるのは靖国神社参拝」

2025年09月22日 国際 #時事ジャーナル
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日本で2カ月前に行われた参議院選挙の余波は小さくなかった。

【韓国】石破首相辞任後について大統領室が言及

石破政権の命運を左右するとみられていた参院選で自民党は惨敗し、石破首相は結局、就任からわずか1年余りで退陣することになった。実際には、2024年10月の衆院選と今年7月の参院選で続けて惨敗したことで、石破首相の辞任は既定路線でもあった。

自民党は結党以来、初めて衆参両院で過半数を確保できないという前代未聞の事態に陥り、この状況をめぐる責任論が相次いで噴出した。

日韓関係は大きく揺らがない

ただ、自民党の選挙敗北は石破首相の責任だけではない、首相が辞任する必要はないという世論も異例ながら広がり、石破首相も任期を全うする意欲を見せていた。

しかし、悪化する党内世論に耐えられず、最終的に辞意を表明し、日本政治は新たな局面に入った。

2012年に再登板した安倍首相が7年8カ月の最長政権を維持し、日本政治は自民党の「一強構造」を続けてきた。だが最近は状況が変わった。自民党は第一党としての地位は維持したものの、国会で過半数を取れなかったため、今後は多くの課題で他党との協議が不可避となった。

従来のように連立与党・公明党との合意だけでは政権運営が難しくなり、新たな連立パートナーを探さざるを得ない状況に直面している。これはすなわち、日本政治を捉える視点の変化が必要であることを意味する。

小泉進次郎氏
(写真提供=UPI/アフロ)小泉進次郎氏

そうした意味で、新たな自民党総裁、すなわち日本の首相を選ぶ今回の選挙で、自民党議員たちの選択は極めて重要だ。誰を選ぶかによって自民党の新しい連立相手が変わり、それが党の進路を左右する可能性が高いからだ。

今回の自民党総裁選に立候補するとみられる人物は5人。高市早苗・前経済安全保障相、小泉進次郎・農林水産相、林芳正・官房長官、小林鷹之・元経済安全保障相、茂木敏充・前幹事長がその顔ぶれだ。

このうち有力視される高市前経済安保相と小泉農相は、靖国神社参拝を理由に韓国では右翼政治家として知られ懸念の声も高いが、その前に注目すべきは「政治と政策の対決」だ。

投票権を持つ自民党議員と党員(党費を納める日本国籍者)、党友(自民党後援の政治団体会員)の意思がどこに向いているのかが重要だ。

言い換えれば、自民党内で強硬保守に分類される高市氏を選ぶことは、近年薄れつつあった自民党の保守色を明確にし、過去2回の選挙で参政党や国民民主党などに流れた保守支持層を呼び戻す狙いが込められる。

知名度が高く、メッセージ力があり選挙に強い小泉氏を選ぶことは、次期衆院選で現状を変えようとする意図と読める。小泉氏は2024年の自民党総裁選で決選投票には進めなかったが、1回目の投票では議員票でトップを獲得した。

一方で、高市氏の過度な保守傾倒や小泉氏の経験不足は、むしろ林官房長官や茂木前幹事長といった中堅・ベテラン議員を押し上げる可能性もある。現在の不安定な内外情勢を考えれば、外相、経産相、防衛相など要職を歴任し実務経験を積んだベテラン議員こそが、混乱を収拾し政策成果を上げられるとの期待がある。

また、5人の候補の中で相対的に注目度は低いが、前回総裁選に続き出馬する小林元経済安保相は、自民党の世代交代や人材刷新の象徴とみられている。2024年の総裁選では初出馬ながら9人中5位に入り、同じく出馬した林官房長官や茂木前幹事長よりも多くの議員票を獲得し、議員票だけなら4位となる底力を示した。直ちに首相就任は難しくとも、今後も韓国が注視すべき有力政治家の一人である。

高市早苗氏
(写真提供=UPI/アフロ)高市早苗氏

韓国、「両国の利益」をさらに広く伝えるべき

8月の李在明(イ・ジェミョン)大統領の訪日に続き、9月末には石破首相の訪韓が取り沙汰されるなど、日韓関係に追い風が吹くなか、日本の首相交代は再び試練となる。

もっとも、韓日関係の重要性や韓米日協力の必要性については、両国間で広く共感が形成されており、相互認識や好感度も最高潮に達しているため、指導者交代だけで関係が大きく揺らぐことはないだろう。

しかし、韓日間の懸案である歴史問題について、政府関係者や政治指導者の言動は関係を揺るがす変数になり得る。日本の挑発、韓国の対応、そして再び日本の反応が連鎖する作用・反作用のなかで、韓日関係が再び揺れる可能性は否定できない。

こうした状況下で、現在の韓日友好の枠組みを崩さないことが両国の戦略的利益であると、より広く知らせる必要がある。

現段階で最も懸念される靖国神社参拝について、韓国がなぜ敏感に受け止めるのか、2013年に安倍首相が参拝して以降、この10年間で現職首相が誰一人参拝していないことの意味を日本自らが認識する必要がある。

相手国への配慮こそが外交の第一歩であり、関係の出発点であることを強調すべきだ。

●峨山政策硏究チェ・ウンミ研究委員

(記事提供=時事ジャーナル)

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