Google Koreaが6月29日に発表した2017年上半期の検索ワードランキングで、日本アニメが上位にランクインし、韓国で話題を呼んでいる。
まず検索語「人物」部門を見ると、1位は「文在寅」、2位が「朴槿恵」と続き、政権交代が行われたこの半年間を象徴する結果が現れていた。
3位には日本デビューが話題の大人気ガールズグループ「TWICE」がランクイン。「人物」部門ベスト3は、まさに今年上半期の韓国の世相を示しているように見える。
しかし、そんな中で検索ワードランキング1位を獲得したのは、なんとあの日本アニメだった。
1位の検索ワードは「君の名は」。日本でも大ヒットした新海誠監督アニメ作品のタイトルがトップに輝いたのだった。
2位はドラマ「鬼」、3位はオンラインゲームゲーム「オーバウォッチ」で、先に挙げた「文在寅」は4位、「朴槿恵」は9位にとどまった。
ただ、『君の名は。』が検索ワードトップに輝いたことは、さして驚くべきことではないのかもしれない。
というのも、『君の名は。』は今年1月から韓国で公開されると、歴史的な大盛況を博している。
2016年1月から韓国で上映をスタートすると、350万人以上の観客を動員して日本映画の最高記録を樹立。さらに『小説 君の名は。』など関連書籍もオンライン書店で売上1位を記録し、主題歌を歌ったRADWIMPSの音楽が収録されたオリジナル・サウンドトラックも大手書店などで売上1位を獲得している。
7月8日からはソウルで展示会が開かれ、7月13日からは韓国吹き替え版の公開と字幕版の再上映が予定されている。
『君の名は。』のほかにも、日本のアニメは上位にランクインしている。
6位には『ONE PIECE』、13位には『進撃の巨人』が入った。上述した「TWICE」は15位で、国民的アイドルよりも日本のアニメが上位にランクインしたのだった。
もっとも、両作品は韓国でもアニメ放送されており、根強い人気を誇っている。
『ONE PIECE』は日本版のアニメに少し“残念な”修正を施しているものの、フィギュアなど関連商品が発売されると韓国メディアがこぞって取り上げるほどだ。
また『進撃の巨人』も、日本でアニメ放送された2013年4月から異例の「日韓同時放送」がされており、放送開始時から関心が高かった。
こうした人気を今回の検索ワードランキングが改めて証明した形だ。
なぜ、韓国で日本のアニメが人気なのか。韓国メディア『ヘラルドPOP』は『君の名は。』を例に挙げこう分析している。
「韓国のアニメは子どもたちをターゲットにしたコンテンツに限られている。その反面、日本のアニメは全世代が楽しむものだ。韓国での『君の名は。』の成功にはこうした背景がある」
「理由はもう一つある。国民的な災難に対する慰労と希望のメッセージだ。『君の名は。』は、起こってしまった悲劇を巻き戻したいという思いも込められていた。2011年の東日本大震災の影響だ。これが2014年にセウォル号沈没事故を経験した韓国人の心境にもマッチした」
要するに、作品のターゲットとメッセージ性に、日本のアニメが韓国でも支持される理由があるという主張だ。
いずれにしても、韓国で日本のアニメがこれほどに人気を得ていることは、歴史問題や領土問題などで確執の多い両国にとって、一筋の希望になりうる。
韓国社会に日本アニメがどのような影響を与えるのか、これからも注視したい。
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