防弾少年団も歌うYOLOと、No Moneyで分裂する韓国若者の現状

2017年10月11日 K-POP
このエントリーをはてなブックマークに追加

「YOLO(ヨロ)」という言葉をご存知だろうか。

K-POPグループ防弾少年団(BTS)が9月に発表したミニアルバムの収録曲『悩みよりGo』の歌詞には、「YOLO」という言葉が32回、「タンジンジェム」という言葉が25回登場する。

BTSといえば、楽曲を通じて社会問題を語ることでも定評があるグループ。『ペップセ(Silver Spoon)』や『Am I Wrong』といった楽曲がそうだったように、今回もYOLOやタンジンジェムという流行語を用いて韓国社会にメッセージを放った。

最近韓国の若者を中心に流行っているYOLOは、You Only Live Once(人生は一度きり)の略である。つまり、「未来の心配はやめて今を楽しもう」という考え方・生き方だ。

BTS

その延長線にある言葉が、財産などを使い果たすという意味の“蕩尽”と、“楽しい”を組み合わせた「タンジンジェム」である。

例えば百均ショップなどで物をたくさん買ったり、ストレス解消のためにあまり必要のない物を買ったりする行為を、皮肉とユーモアを交えて「タンジンジェム(使い果たすの楽しい)」と言うのだ。

消費するべきか、節約するべきか

BTSの『悩みよりGo』では、「お金はないけど遠くへ旅立ちたい」「頑張って稼いだ私のpay(お金)、すべて私のお腹に」という歌詞が出てくる。

まさにYOLOとタンジンジェムにハマっている若者たちの現状だ。

そんな“YOLO族”の中には、無理に借金をして高級車を購入したり、世界旅行したりする人もいるらしい。“今を楽しもう”を、“贅沢しよう”に勘違いしてしまうのも、未来が見えないゆえか。

注目したいのは、YOLO族が存在する一方で、正反対の性質を持つ「No Money族」も急増していることだ。

「No Money族」とは言葉通り“お金を使わない人たち”。ケチと言われるほど生活において様々な節約ワザを駆使する人々を言う。

No Money族が現れた理由は簡単だ。

史上最悪の就職難や年金不信、日本の“失われた20年”を後追いするかもしれないという不安などが、人々を節約や貯蓄に目覚めさせているのだ。

とある節約家タレントは「お金は使わないものなのです」「いま貯蓄しなければ、あとで嫌な仕事をせざるを得ない」という“名言”をヒットさせたのだが、これもまた若者たちの心をうまく代弁したからこそかもしれない。

YOLOとNo Moneyに両極化していく韓国の若者たち。人生は一度きりだからこそ、悩みは尽きないもの。

それでもBTSは同年代に向かって「心配ばかりするにはまだ若い」「今日だけは悩みよりGoしちゃえ」と、エールを送る。その声に救われる人も、きっといるはずだ。

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

デイリーランキングRANKING

世論調査Public Opinion

注目リサーチFeatured Research