韓国では圧倒的なNetflix、…その波に押されるテレビ業界の悲喜こもごも

2021年09月18日 話題 #ドラマ #市場調査
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日本の調査会社ICT総研が8月17日、「有料動画配信サービス利用動向に関する調査(2021年版)」の結果を発表した。

それによると、日本における有料動画配信サービス利用者は、2016年末(12月末)時点で1160万人、うち定額制サービスの利用者数は約4分の3の890万人だったが、2020年末には2330万人に増加したことが明らかとなった。文字通り倍増だ。

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利用状況としては、ユーザーの70%がAmazonの「プライム・ビデオ」を活用。以下、「Netflix」(28%)、「Hulu」(19%)、「GYAO!」(11%)、「U-NEXT」(10%)と続く結果となった。

お隣・韓国はどうだろうか。

8月31日、アプリ分析サービスのワイズアプリ・リテール・グッズが韓国国内のスマートフォンユーザーをターゲットに調査した結果、前月のNetflix利用ユーザーが910万人で、過去最大のユーザー数を記録したことがわかった。

Netflixに次いで利用者が多いのが「wavve」(319万人)で、3位は「TVING」(278万人)となった。現状、韓国ではAmazonのプライム・ビデオは市場進出していない。

また、日本でのNetflix上での2020年の人気ランキングは、1位が『愛の不時着』、2位が『梨泰院クラス』、3位が『テラスハウス: Tokyo 2019-2020』となる。その後は、4位の『ハイキュー!!』、5位の『炎炎ノ消防隊』と続く。なんと上位3作品中、2作品が韓国ドラマとなったのは驚きだ。この事実に、韓国ニュース期間の多くが「日本で韓流が復活している」と報じているのも印象的だ。

ちなみに、韓国内でのランキングでは医療ドラマ『賢い医師生活』がトップ視聴となり、その後に『秘密の森』『サイコだけど大丈夫』『HEART SIGNAL』『青春の記憶』と続く。2位の『秘密の森』は日本でも視聴できるが、韓国ほど注目されているわけではない。似たようなランキングといえども、微妙な違いが面白い。

(画像提供=tvN)『賢い医師生活』ポスター

このように動画プラットフォームを通しての視聴が好調な裏で、苦戦しているのが韓国のテレビ業界だ。20年前と比較すると、視聴率は半減レベルになり、広告収入もそれに合わせて毎年減っている。

Netflixを筆頭に、YouTubeやネイバーTVなどのデジタルベースのサービスの影響が大きい。実際に2005年7月に放送されたMBC『私の名前はキム・サムスン』の第16話の視聴率は53.4%(首都圏・TNMS)を記録したが、最近のドラマはどんなに頑張っても20%前後が関の山だ。

全国世帯の半分以上が同時に視聴するような作品が再び出てくると信じる人はいない。

こうしたテレビ業界の危機は韓国だけではなく、万国共通の悩みだ。動画プラットフォームの推進がテレビ界をどう変えていくのか、注目していきたい。

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