大きなお腹で苦労の多い妊婦のために特別なサービスを行う企業が少なくない韓国で、周囲に妊娠中であることを知らせる「妊婦バッジ」が“販売”され、悪用される事例が増加している。
韓国のオンライン中古取引サイトやSNSでは、「妊婦バッジ買います」という書き込みが見つかるようになって久しい。
そもそも韓国の「妊婦バッジ」は、公共交通機関を利用する妊婦が座席を優先的に譲られるようにと「妊婦優先」という文字が入った円形のバッジだ。一般の人が妊婦であることを認識しやすくし、緊急時には妊婦が優先的に助けを受けられるようにという目的で作られた。
自治体などで受け取れるものだが、6月以降、一部の地方自治体でバッジの供給が不足し、妊婦登録をしてもバッジを受け取れないケースが相次いでいるという。そのため「妊婦バッジ」を手に入れたい人が増加し、中古取引サイトなどで需要が生じているとの見方がある。取引価格は1万ウォン(約1100円)ほどだ。
一方で、妊婦だからこそ受けられるサービスを求めて、妊婦を装うために「妊婦バッジ」を悪用する人も増加しているという。
例えば、大田(テジョン)にある人気のパン屋「聖心堂(ソンシムダン)」は、妊婦のお客さんに対して購入金額の5%を割引する「プレママ割引き」制度を全店舗で運営。さらに店舗の状況に応じて、待ち時間なしで入店できる「優先入場」サービスも提供されているとのことだ。
ただ、店側が実際に妊娠しているかどうかを厳密に確認しなかったため、出産後もバッジを使い続けたり、中古で入手したバッジを提示したりするケースも発生している。店側がルールを厳格化する事態が発生したりした。
問題は、「妊婦バッジ」の取引や不正利用を防ぐ有効な手立てがないということだ。現在、「妊婦バッジ」を管理する主な主体は、保健福祉部、人口保健福祉協会、地方自治体の3つだ。しかし、いずれも「妊婦バッジ」の再発行や回収に関する規定を明示していない。
結局のところ、モラルに依存するしかない状況だ。日本以上の超少子化が進む韓国では、妊婦に優しい社会作りが一層重要になっている。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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