食用目的の犬はいなくなるが…「ペットがパートナーの国」と米紙に注目された韓国に残された課題

2024年10月16日 社会
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アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』紙が韓国について「世界で最も寂しい国の一つ、ペットの犬をパートナーと見なす」というタイトルの記事を掲載した。

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その記事で『ニューヨーク・タイムズ』は「少し前まで、韓国は犬を食用に飼育する伝統のために、世界中のメディアの見出しを飾り、動物権団体の怒りを引き起こしていたが、近年、韓国の人々はペット、特に犬を飼うことに熱狂している」と伝えた。

続けて「世界で最も出生率が低く、人口の大半が一人暮らしをしている韓国では、ペットが愛される家族の一員となっている」とし、韓国における出生率の低下や一人暮らし世帯の増加に注目。

そして、独身や子供を持たないことを選択する韓国人が増加するなかで、ペットを飼う人が増えていること、そしてパンデミックによって室内に閉じこもっていた人々が犬や猫を保護施設や路上から引き取るようになったことも影響していると分析した。

現在の法律上、ペットは「物」

愛犬
(写真=Pexels)

実際に韓国では近年、ペットを飼う人が増えている。

メディアなどで「ペット1000万匹時代」といわれて久しく、2022年基準でペット数は1500万匹に上り、すぐに2000万匹になるとの見通しも出ている。2023年基準でペットを飼っている世帯は全体の28.2%にあたる約602万世帯だ。

韓国政府が来年1月から施行される「第3次動物福祉総合計画」の策定過程で、ペットの飼い主に対して税金を課す案、いわゆる「ペット保有税」が検討されるほどだ。

また、2027年2月7日からは犬の食用目的の飼育・屠殺・流通・販売がすべて禁止されることとなっている。

とはいえ、ペットを飼う人が増えてはいるが、ペットの“法的地位”はそれに追いついていないのが現状との指摘がある。

実際に、現行の民法でペットを含む動物は「物」として扱われている。民法第98条に基づき、動物は物として取り扱われ、人間が所有し取引できる対象だ。第21代国会では「動物は物ではない」という民法改正案が法務部から直接発議されたが、最終的には国会の常任委員会を通過せず、任期満了で廃案となってしまった。

また、動物虐待の件数も毎年増加傾向だ。警察庁によると、2021年2月に動物保護法を強化し、処罰の強度を高めたにもかかわらず、動物虐待の件数は2021年1072件、2022年1237件、2023年1290件となっている。

合計特殊出生率が0.72(2023年)と過去最低を記録した韓国では、ペットをパートナーとして選ぶ人が増えている。そうした状況の中で、ペットとその飼い主の幸福を支える基盤も整備していく必要があるといえそうだ。

(文=サーチコリアニュース編集部O)

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