韓国・全羅南道の務安(ムアン)国際空港で発生したチェジュ航空の事故機に搭載されていたブラックボックスに、衝突前最後の4分間のデータが保存されていなかったことが判明した。
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務安空港のチェジュ航空機事故の原因を調査中の国土交通部・航空鉄道事故調査委員会は1月11日、「アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)で事故機の飛行記録装置(FDR)と操縦室音声記録装置(CVR)を分析した結果、航空機がローカライザー(方位角誘導装置)に衝突する約4分前から両装置へのデータ保存が停止していたことがわかった」と述べ、「現在、その原因は不明の状態」と明らかにした。
FDRとCVRは「航空機のブラックボックス」と呼ばれる装置だ。
FDRは航空機の飛行経路や主要装備の動作状況を記録する装置で、高度、速度、着陸装置の動作状況など様々な情報を記録する。一方、CVRはパイロットと管制官の交信、コックピット内の会話、航空機内の警告音などを記録する装置だ。
当局は当初、FDRのみをアメリカに送って分析を依頼したとされていたが、事故調査委員会はこの日、韓国内での先行分析結果と比較検証するため、CVRもアメリカに送っていた事実を追加で公表した。
事故調査委員会によると「事故当日、現場でCVRは外観上は損傷のない状態で、FDRは電源とデータ保存ユニット間のコネクターが損傷した状態で回収された」と述べ、「(これをアメリカNTSBで)分析した結果、航空機がローカライザーに衝突する直前4分間のCVRとFDRのデータがいずれも保存されていないことが判明した」と説明した。
さらに事故調査委員会は「CVRとFDRのデータは事故原因の解明に重要な資料であるが、事故調査は様々な資料の調査・分析を通じて行われるため、正確な事故原因を特定するために最善を尽くす計画だ」と述べた。
また、「必要と判断される場合、被害者遺族に対して公開可能な範囲で最大限の情報を提供する計画であり、公正かつ透明な事故調査を行う」と付け加えた。
一方、事故機は12月29日午前9時3分頃、務安空港滑走路端に位置するローカライザーに衝突し、爆発した。この事故で179人が犠牲となった。
事故直前の午前8時57分頃、務安空港の管制官が事故機に対し、鳥との衝突(バードストライク)を警告し、機長は2分後の8時59分に遭難信号「メーデー」と着陸を中止して高度を上げる「復行」を通知していた。
事故調査委員会の説明を総合すると、機長がメーデーを宣言した時点から衝突に至るまで、最も緊迫していたとされる約4分間の航空機ブラックボックスのデータが現在残されていないことになる。
そのため一部では、今回の事故の正確な原因解明に支障が出るのではないかとの懸念も浮上している。
(記事提供=時事ジャーナル)
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