日本企業に直接責任を問うとして、元徴用工の遺族らが三菱重工業の韓国内系列会社を相手取った訴訟で勝訴した。
ソウル中央地裁・民事951単独(イ・ムンセ部長判事)は2月18日、元徴用工の遺族らが韓国内の三菱重工業の債権を差し押さえるために起こした訴訟で、同社の系列会社に8360万ウォン(約870万円)の支払いを命じる判決を下した。
裁判所は、系列会社「MHパワーシステムズコリア」が三菱重工業にITサービス手数料として支払うべき8360万ウォンを、三菱重工業ではなく、故チョン・チャンヒ氏の遺族に支払うよう命じた。
支払金額は、配偶者のオ・テグン氏に1930万ウォン(約200万円)、子ども5人にはそれぞれ1286万ウォン(約130万円)と算定された。
チョン氏を含む元徴用工たちは2018年、強制動員企業を相手取った損害賠償請求訴訟で最終的に勝訴した。しかし三菱重工業は損害賠償金を支払わなかった。
それを受けて韓国政府は2023年3月、被害者15人に対し、行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が民間企業などの寄付金で準備した賠償金を支給するという「第三者弁済案」を発表した。
元徴用工15人のうち、最終的に13人は「第三者弁済」を受け入れ、財団から賠償金を受け取った
しかし今回の訴訟を起こしたチョン氏の遺族らはこれを拒否し、日本企業に直接責任を問うため、2023年3月にMHパワーシステムズコリアの韓国内資産の取り立てを求めた。同社がITサービス手数料として三菱重工業に支払うべき資金を差し押さえ、強制動員被害の補償に充てるべきだと主張したのだ。
今回の判決が確定すれば、元徴用工側が債権差押訴訟を通じて賠償金を受け取る初の事例となる。三菱重工業側に金銭的な負担が発生するのだ。
被害者側の弁護団は判決後に記者団に対し、「三菱重工業がこれまで損害賠償金を支払わなかったが、我々が三菱の債権を見つけて訴訟を行い勝訴した重要な判決だ」と述べ、「裁判所が反歴史的な政策に反対する人々に対し、三菱の資金で賠償を受ける道を開いてくれたことに感謝する」と話した。
韓国のオンライン上では今回の判決に関して、「過ちを犯したのは日本の戦犯企業なので当然だ」「第三者弁済というとんでもない案を押し通した親日派たちは処罰を受けるべき」「一日も早く正しく問題が解決されることを願う」などと、今回の判決を支持する反応が寄せられた。
一方で、「1965年の韓日協定の際、有償・無償合わせて9億ドルの借款を受け取ったのは韓国政府だ。日本企業を訴えるのは筋違いだ」「日本企業に金を出せと駄々をこねるのは国の恥さらし」「これで日本企業が韓国から撤退してしまったら、そこで働いていた労働者たちはどうするつもりなのか」といった反対する声もあった。
「第三者弁済」によって一段落したと見られていた徴用工問題が、再び日韓に様々な影響を与えそうだ。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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