責任を取らない権力は、まさに災厄だ…「ジャンボリーの悪夢」を振り払った韓国・全北自治道

2025年03月16日 社会 #時事ジャーナル
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「全北自治道が2036年夏季オリンピックの韓国内候補地に最終選定されるという奇跡を演出した」

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これは、2月28日に大韓体育会が代議員総会で投票を行い、全北を2036年夏季オリンピックの国内招致候補地として確定したことを報じた『ノーカットニュース』の記事の冒頭文だ。

続く記事の内容を見てみよう。

「全北49票、ソウル11票だった。これはインフラや知名度の面で絶対的優位を占めていたソウルを抑えての成果であり、その意味はさらに大きい。全北道は大邱、光州、全南、忠南、忠北など5地域との非首都圏連携による分散開催方式を提案し、支持を得た」

『ハンギョレ』の「ジャンボリーは忘れろ…『圧勝』した全北、2036オリンピック候補地の逆転ドラマ」というタイトルが興味深い。そう、問題はジャンボリーだった。「全北は2年前、ジャンボリーの失敗で国内外から批判を浴びた」という大きなハンディキャップを抱えていたため、今回の全北の圧勝はより驚くべきものだった。

いったい何が変わったことで、全北は「ジャンボリーの悪夢」を振り払い、立ち上がることができたのだろうか。

最も必要なのは「責任」だった

今年1月、2036年夏季オリンピック招致の現地評価団が全北を訪れた
(写真=全北自治道)今年1月、2036年夏季オリンピック招致の現地評価団が全北を訪れた

いくつかの説明が可能だが、一言で答えるならば、イタリアの思想家ニッコロ・マキャヴェッリの次の名言にその答えが隠されている。

「遠征隊の指揮権を平凡な能力の持ち主1人に任せるほうが、最も優れた2人に半分ずつ分けて任せるよりも良い」

2年前のジャンボリーが失敗に終わった最大の原因は、「5人共同委員長」体制と、それに伴う「コントロールタワーの不在」にあった。責任が分散された結果、事実上消失してしまったのだ。

「連帯責任は無責任」という言葉が生まれたのも無理はない。それに対し、今回の夏季オリンピック国内候補地の招致活動は、最初から最後まで全北知事1人の責任体制のもとで進められた。

地方の問題を詳しく見ていくと、その8割は責任の問題に帰結することがわかる。「予算決定論」といってもいいほど、予算問題が政治や地方自治の方向性を決定している。

地方自治が中央から「予算を獲得する能力」に還元される時代が半世紀以上も続いた結果、地方の住民は、いつの間にか「中央の支援なしには何もできない」と考える「学習された無力感」に陥ってしまった。

「2036年全州夏季オリンピック招致祈願・道民一心大会」
(写真=全北自治道)3月12日、全北特別自治道庁で開催された「2036年全州夏季オリンピック招致祈願・道民一心大会」

アフリカの地域運動に尽力したイングランド国教会の牧師ジョン・ポップワースは、「地域の問題に対する責任を地域住民に委ねなければ、彼らを無責任な人間にしてしまう」と語った。これは、今日の地方の現状そのものと言っても過言ではない。

アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムは、「責任感の喪失は、権威への服従がもたらす最も一般的な結果だ」と述べた。歴代の中央権力が地方をソウルの植民地へと転落させたことによる最大の罪は、地方から「積極的な能動性」を奪ったことだ。

アメリカの政治哲学者メアリー・パーカー・フォレットは、「責任こそが人を成長させる偉大な教師である」と言った。自身の責任のもとで意味のあることを成し遂げた経験のある人ならば、この言葉に同意するのは当然だろう。

歴代の中央権力は、地方からその「教師」を奪っただけでなく、政治を「泥仕合のような利権争い」に貶めることで、政治家の辞書から「責任感」という言葉を消し去ってしまった。

公職者に対する弾劾訴追が憲法裁判所で棄却された場合、その費用を発議した議員の歳費から差し引くようにしたらどうだろうか。そうすれば、これまで「ダメでもともと」とばかりに29回も弾劾訴追案を乱発してきた「共に民主党」の議員たちが、無責任な行動を今後は続けられなくなるだろう。

3月8日に拘置所から釈放された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はどうだったか。その日の彼の表情からは、自らが主導した「12・3非常戒厳」によって、この100日間、国家的な災厄を引き起こしたことに対する罪悪感のようなものはまったく見受けられなかった。

責任を取らない権力は、まさに災厄だ。

(記事提供=時事ジャーナル)

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