韓国でも米の価格が急騰、日本との違いとは?

2025年08月26日 社会
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昨今、米の価格高騰が大きな問題となっている。

「高騰が止まらない」ついに100万世帯をきった韓国農家

それは日本だけでなく韓国でも同じだ。韓国では、新米が市場に出回る10月まで価格上昇が続くとの見方が示されている。

韓国農村経済研究院のパク・ハヌル専門研究員は8月26日、「10日ごとに米価格を観測しているが、現在は1%台の上昇幅で急速に値上がりしている」と明らかにした。

原因は?

韓国農水産食品流通公社によると、米20kg当たりの小売価格は7月31日時点で6万573ウォン(約6400円)に達した。前年比15.15%、平年比16.57%の上昇である。昨年の全国米生産量は358万5000トンで、前年に比べ3.2%減少した。

米
(写真=PhotoAC)

価格急騰の背景には、天候不順による収穫量の減少、害虫ツマグロヨコバイの被害による精米歩留まりの低下、さらに政府による2024年産米20万トンの市場隔離(流通制限)が複合的に作用した結果とみられる。特に、昨年の登熟期に降った集中豪雨と病害虫の拡散で精米歩留まりが落ち、そこに政府の市場隔離が重なり流通量が減少したことで、価格が押し上げられた。

これを受け農林畜産食品部は、8月末までに政府保有米3万トンを市場に供給する方針を示した。ただし収穫期の需給に影響を与えすぎないよう、従来の競売方式ではなく、今年の生産分で返却する「貸与方式」に切り替えた。2025年産の早場米が収穫されれば返却される仕組みだ。

一方で農民からは「拙速な供給は逆に暴落を招く」と懸念する声もある。全国農民会総連盟・光州市農民会のイ・ジュンギョン会長は「昨年は霊光、咸平、海南などを中心にツマグロヨコバイの被害が深刻で、生産量は少なくとも15%減った。その影響で一時的に米価格が上がったが、まもなく早場米が収穫されれば在庫が一気に市場に出回る。そこに政府が急いで米を放出すれば価格は下落せざるを得ない」と指摘した。

それでも米価格の上昇は当面続くとの見方が強い。パク研究員は「政府の放出量は多くなく、現在の在庫不足を解消するには不十分だ。そのため価格上昇は新米が本格的に出回る10月まで続くと予想される」と話している。

日本との違い

一方、日本でも米価格の高騰が問題となっている。韓国では天候不順や害虫被害、政府の流通政策が大きな要因だが、日本では2023~2024年の猛暑による品質・収穫量の低下に加え、肥料や燃料など生産コストの上昇分が価格に転嫁されている。

つまり、両国とも「自然条件による減収」という点では共通しているが、韓国は病害虫や政策、日本はコスト増と需給バランスの歪みが主因という違いがある。

(記事提供=時事ジャーナル)

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