韓国で、非医療従事者によるタトゥー施術を許容する通称「タトゥー司法」が、国会常任委員会を越えてついに本会議での通過だけを残すことになった。通常国会が開かれ、本会議を控えていることから、タトゥー司法に対する医療界とタトゥー業界の温度差がいっそう鮮明になっている。
9月1日、法曹界によると、タトゥー司法が8月27日に国会保健福祉委員会の全体会議を通過した。
タトゥー司法は「タトゥー彫師」という職業を新設し、その資格および関連試験に関する手続きを規定することを骨子としている。
また、タトゥーショップを開業する際にはタトゥー彫師の資格を有していなければならず、毎年衛生・安全管理教育を受けるように定めている。
韓国における非医療従事者によるタトゥー施術は、1992年にタトゥー施術を医療行為と判断した大法院(最高裁判所)の判決以降、医療法違反として処罰されてきた。現行法上、非医療従事者がタトゥー施術を行った場合、医療法違反により5年以下の懲役または5000万ウォン(日本円=約530万円)以下の罰金に処される。
ただ、現場では非医療従事者によるタトゥー施術がすでに一般化している。
保健福祉部が2023年に公開した「タトゥー施術利用者現況調査」の資料によると、タトゥーを入れた500人のうち病院での施術経験者は1.4%、アートメイク利用者1444人のうち病院経験者は6.8%にすぎなかった。つまり、残る90%以上は非医療人従事者の施術を受けたわけであり、病院での施術経験者の中でも、実際に医師が直接施術したケースはタトゥーが14.3%、アートメイクが23.5%にとどまった。
これに加え、最近では眉や唇、頭皮など美容目的でタトゥーを入れる施術の人気が高まっている。韓国国内でタトゥーを入れた人口が1300万人を超える過程で、33年ぶりにタトゥー司法の制定が進められることになった。
ホン・ジュンピョ前大邱市長や「国民の力」アン・チョルス議員、ウォン・ヒリョン前国土交通部長官などの有力人物も、眉へのタトゥー施術を受けた事実を告白したことがある。
今回のタトゥー司法に、タトゥー業界からは歓迎の声が挙がっている。これまでは関連法がなく事業者登録が困難だったが、タトゥー師法が制定されれば法的な職業安定性を保障されるようになるからだ。また、彼らはタトゥーが合法化されることで、当局の管理を受けながら保健衛生により気を配ることができるとも主張している。
一方の医療界は、タトゥー司法に懸念を表明している。大韓医師協会は「タトゥー行為は皮膚に永続的な色素を注入する医療行為だ」とし、「感染、アレルギー、ショックなど深刻な副作用を伴うが、応急状況に対する専門的な医療対応が不可能な非医療人に入れ墨を許容することは無責任な立法だ」と声を高めた。
大韓皮膚科医師会もまた「タトゥーは皮膚に傷をつけ、人体に異物を注入する侵襲的行為であり、決して軽く扱えるものではない」とし、「それにもかかわらず今回の法案は、あたかも国家が入れ墨を保健・文化的に奨励する行為であるかのように合法化の根拠を設けた」と批判した。
こうした状況の中、同日に通常国会が開かれたことを受け、タトゥー業界は本会議通過への期待感を示した。イム・ボラン大韓タトゥー彫師中央会会長は「来る9日に予定されている本会議を緊張状態で待っている」とし、「与野党間に大きな異見がない法案であるだけに、通過の可能性は高いと見ている」と述べた。
続けて、「タトゥー師法は消費者の安全を制度的に保障し、これまで陰で行われていた施術を表に引き出して教育と管理・監督体系を整えるための装置だ」とし、「今回の本会議で通過できなかったとしても、引き続きタトゥー合法化の必要性について声を上げていく」と付け加えた。
一方、同法案を代表発議した「共に民主党」パク・ジュミン議員は、医療界の懸念解消が必要だとしながらもタトゥー師法の制定はなされるべきだと述べた。
パク議員は「タトゥーは我が国民の約30%が経験した日常であり文化であり、30万人を超える入れ墨関連従事者にとっては生業だ」とし、「医療界など一部の懸念を解消し、国民の安全を厚く保障するための努力が今後も続かなければならない」と語った。
(記事提供=時事ジャーナル)
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