韓国の兵役制度において、身体的・精神的な理由などで軍勤務が困難と判断された者が、福祉施設や公共機関などで非軍事的な任務に従事することを「社会服務要員」と呼ぶ。
BTSのSUGAも社会服務要員として兵役を終えた。
その社会服務要員による服務規定違反の不誠実な勤務件数が、過去5年間で約8000件に達したことがわかった。
特に、無断遅刻や早退など、基本的な勤務態度に関する違反が半数以上を占め、服務規律の緩みが深刻化している。誠実に勤務する要員や現役兵が感じる相対的な剥奪感が大きくなっていることから、制度改善が急務だとの指摘が出ている。
10月17日、「国民の力」ユ・ヨンウォン議員室が兵務庁から提出を受けた資料によると、2021年から今年8月までの間に社会服務要員が服務規定に違反した件数は、合計7960件に上った。
年別に見ると、服務義務違反は毎年1500件以上発生している。違反件数は2021年に1738件、2022年に1766件を記録し、2023年には1957件と前年より約200件も増加した。2024年は1557件と400件減少したものの、今年8月までにすでに942件が発生しており、今年も1000件を超える見込みだ。
違反理由のうち半数以上は、正当な理由なく任務を遂行しなかったり遅延させたりする基本的な「勤怠不良」だった。
過去5年間の違反理由をみると、「無断遅刻」が4580件で最も多く、「無断早退」(1332件)、「勤務規律の乱れ」(858件)、「兼職違反」(525件)、「教育怠慢」(458件)などが続いた。その他、服務機関が提供する社会サービスの利用者に対して身体的・情緒的・性的暴力や虐待行為を行うなど、重大な違反事例も85件あり、毎年10件以上が摘発されている。
兵役法によると、社会服務要員が服務規定に違反した場合、警告処分を受け、その回数が増えるたびに服務期間が5日ずつ延長される。勤務地を無断で離脱した場合、離脱期間の5倍が服務期間に加算される。また、4回以上の警告を受けたり、無断遅刻・早退・離脱が8回以上になったりすると、刑事告発の対象となる。
こうした処罰規定にもかかわらず、社会服務要員の不誠実な勤務問題は毎年繰り返されている。特に一部の芸能人による不誠実な勤務事例が知られ、“特別な恩恵”疑惑をはじめ、現役兵や誠実な服務者たちの剥奪感を増大させている。
兵務庁も再発防止に取り組んでいるが、制度改善は依然として不十分な状況だ。兵務庁は今年、服務指導官の予算を2800万ウォン(約280万円)から4100万ウォン(約410万円)に増額し、40人を追加配置。指導回数も5回から6回に増やした。服務機関の担当者960人も、服務規律確立のための教育に投入されている。
だが、今年上半期時点で全国の社会服務要員は4万6101人に達しており、現行の人員と制度だけでは実質的な管理・監督が困難だという指摘がある。
ユ・ヨンウォン議員は「服務規律が緩むほど、誠実に勤務する現役兵や社会服務要員が感じる相対的な剥奪感は非常に大きくなる」と述べ、「“ソン・ミンホ防止法”と呼ばれる兵役法改正案を早期に通過させ、社会服務要員の出退勤・休暇・欠勤などを電子システムで管理し、服務管理の透明性を高めて規律を立て直すことが、社会服務制度への信頼回復につながるだろう」と強調した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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