小学生を殺害したとして一審で無期懲役を言い渡されたミョン・ジェワン被告が、判決を不服として控訴した。
韓国の法曹関係者によると、特定犯罪加重処罰法違反(営利目的誘拐・誘因など)や公用物損壊、暴行などの罪で無期懲役を宣告されたミョン被告は、10月27日、弁護人を通じて大田(テジョン)地裁に控訴状を提出したという。
ミョン被告側は控訴審で、一審で認められなかった「心神耗弱(責任能力の減退)」を改めて主張する方針とみられている。
これに先立ち、検察も今月24日、「量刑が不当だ」として同地裁に控訴していた。検察は「うつ病や双極性障害があったとしても、社会的規範や慣習を認識できない状態ではなかった。自らの行為の意味や結果を十分に理解しており、捜査段階から反省の様子も全く見られなかった」として、死刑を求刑していた。
被害者遺族側の弁護士も一審判決後、「前代未聞の事件であるにもかかわらず、無期懲役にとどまったのは残念だ。検察に控訴を要請する意向を伝えた」と述べていた。
ミョン・ジェワン被告は今年2月10日午後5時ごろ、大田・西区の關雎洞(クァンジョドン)にある小学校で、下校途中だったキム・ハヌルさん(当時小学6年生)を視聴覚室の倉庫に誘い出し、刃物で何度も刺して殺害した罪で逮捕・起訴された。
キムさんは心停止状態で発見され、病院に搬送されたが死亡が確認された。ミョン被告は犯行後、自身の首や腕を切りつけており、応急手術を受ける前に警察に犯行を自白した。
警察は容体が回復した同年3月7日にミョン被告を正式に逮捕し、4日後に身元情報公開審議委員会を開いて氏名と顔写真の公開を決定した。
裁判では、ミョン被告側が「罪をすべて認めて反省しているが、犯行当時の心理状態を確認し、必要であれば減刑すべきだ」と主張し、精神鑑定を申請。鑑定の結果、犯行当時は心神耗弱状態だったという所見が出た。
しかし一審の裁判所はこれを減刑事由として認めず、無期懲役を宣告。加えて30年間の電子足輪(位置追跡装置)装着命令、遺族への接触禁止、児童保護区域への接近禁止なども命じた。
判決で裁判部は「面識のない被害者に対し、怒りを発散し、制圧しやすいという理由で女子児童を選んで犯行に及んでおり、社会から永久に隔離する必要がある」と指摘。一方で「反省や更生の可能性が全くないとまでは言えず、生命を奪う形で社会から排除するのは相当性を欠く」と付け加えた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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