出国禁止まで検討される韓国の現職大統領…2回目の「弾劾票決」、今度こそ成立するだろうか

2024年12月09日 政治 #時事ジャーナル
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「国会議員としての責務を第一に考えた。多くの市民から認められる党になってほしいという願いから、(弾劾に)賛成した」

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与党「国民の力」のキム・イェジ議員は、12月7日に行われた大統領弾劾訴追案の「票決に不参加」という党論に従わず、投票に参加した理由についてこう説明した。

票決の翌日、キム議員はBBCとのインタビューで「弾劾票決が行われた日に(大統領の)談話を見て、混乱を防ぐ方法は弾劾を否決するだけではないと考えた」と語り、「周囲の市民の声を無視することはできなかった」と述べた。

「国民の力」の議員のうち、票決に参加したのはキム議員とアン・チョルス、キム・サンウクの3人だけだった。残りの105人の議員は投票を拒否し、結果的に票決そのものを不成立とさせた。

与党内でも意見が分裂

票決当日、与党の院内指導部が全議員に対し弾劾案票決への参加意志を確認したところ、108人中99人が参加に反対する意志を示したという。

党の分裂を防ぐために国会議員としての責務を放棄したこの行動について、「歴史の罪人」と評されるだろうという批判も出ている。韓国憲法第46条第2項には「国会議員は国家の利益を優先して良心に従い職務を遂行する」と規定されている。

12月7日、国会前に集まった市民たち
(写真=時事ジャーナル)12月7日、国会前に集まった市民たち

票決当日、定足数不足のため「ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領弾劾訴追案」の票決結果の発表が延期されるというニュースが流れると、ソウル汝矣島(ヨウィド)の国会前に集まっていた市民たちは怒りの声を上げ、「国民の力」の議員に弾劾票決への参加を促した。

一部の市民は、汝矣島にある「国民の力」の党本部前に押し寄せ、「国民の力解散」を叫んだ。怒った市民たちが「国民の力」の議員に「文字爆弾」(怒りを表明するメッセージを大量送信する行為)を送った結果、携帯電話が予備バッテリーなしでは数時間ももたない事態になったという話まで出たほどだ。

「投票不参加」をめぐって、「国民の力」内部からも批判の声が上がっている。

キム・ジョンヒョク最高委員は12月9日、CBSラジオで与党が票決に参加しなかったことについて「党論であろうと何であろうと投票すべきだ。国家全体の運命を左右する問題で、投票そのものをしないというのは適切ではない」と述べたうえで、「良心に基づいて投票し、200票未満で否決されれば野党も言い訳ができないし、200票以上で弾劾が成立したならば、こちらも言い訳の余地はない」と指摘した。

来る12月14日に予定されている2回目の「ユン・ソンニョル大統領弾劾案」の票決でも、「国民の力」が集団で票決を拒否する場合、さらに大きな批判に直面する可能性が高い。

政治コンサルティング「ミン」代表のパク・ソンミン氏は、SBSラジオのインタビューで「(パク・クネ元大統領の弾劾前に)与党内の親パク派議員も『秩序ある退陣』を求めたが、パク元大統領がそれを拒否して弾劾された」と振り返った。

続けて「今回の弾劾理由を見ると、『親衛クーデター』といえる性格の非常戒厳令で、弾劾せざるを得ない状況であり、それを引き延ばすのは『見苦しい時間稼ぎ』としか思えない」と語った。

ユン大統領に対する捜査は急展開

「12・3非常戒厳事態」で起訴されたユン・ソンニョル大統領に対する捜査は急展開を見せている。

ユン・ソンニョル大統領
(写真=大統領室通信写真記者団)ユン・ソンニョル大統領

高位公職者犯罪捜査処(公捜処)のオ・ドンウン処長は12月9日、12・3内乱事件の捜査チームに対し、ユン大統領の出国禁止を指示した。公捜処は「非常戒厳事件に関連し、オ処長が捜査チームにユン大統領の出国禁止申請を指示した」と発表した。

前日、公捜処は12・3内乱事件を捜査中の検察や警察に事件の移管を要請した。公捜処法第24条は「公捜処長は捜査が重複する場合、捜査進行状況や公正性の懸念を考慮して、他の捜査機関に事件の移管を要請でき、捜査機関はこれに応じなければならない」と規定している。

公捜処は辞職・休職中の職員を除く、検事11人(処長、副処長を除く)と捜査官36人を全員内乱事件の捜査に投入した。

出国禁止は、特定の条件を満たした場合に実施される。事件捜査において、犯罪捜査のため出国が適切でないと認められる人物に適用される。現職大統領という特殊な地位にあるユン大統領が、捜査を避けるために出国する可能性は現実的に考えにくいが、それでも捜査主体として原則的な立場から出国禁止措置を排除しない方針と見られる。

検察は「12・3非常戒厳事態」の主導者の一人とされるキム・ヨンヒョン元国防部長官を12月8日に緊急逮捕し、所持していた携帯電話を押収した。

キム元長官は「国民的疑惑の捜査に積極的に協力する」とし、同日午前1時30分に自らソウル中央地検庁舎に出頭し、約6時間後に緊急逮捕された。

検察の非常戒厳特別捜査本部は、キム元長官が刑法上の内乱罪という死刑も可能な重大犯罪で告発されており、関係者との口裏合わせなど証拠隠滅の恐れがあるとして緊急逮捕の要件を満たすと判断した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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