輸出量10年で20倍の日本イチゴより世界で人気?日本の品種を使って改良した“韓国産イチゴ”とは

2024年12月10日 国際
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日本のイチゴの輸出が伸びているという。

【注目】日本の品種を使った“韓国産イチゴ”の正体

財務省の貿易統計によると、2013年に126トンだったイチゴの輸出量は、10年間で約20倍の2506トンに増加した。

また、農林水産省の「2023年の農林水産物・食品 輸出額」によれば、同年のイチゴの輸出額は61億6300万円に上った。

『日本農業新聞』は「見た目の美しさや甘さなどでアジア圏を中心に人気が高まっている」と紹介し、「輸出額も2013年比で26倍と日本産イチゴの市場は年々拡大している。輸出先国も香港や台湾などアジアを中心に、2023年には13の国と地域に広がった」と伝えた。

韓国産イチゴ、もとは日本の品種?

イチゴの輸出を伸ばしているのは、お隣・韓国も同じだ。

現在、香港やシンガポール、タイ、ベトナムなど世界26カ国に輸出しており、2023年の輸出額は6970万ドル(約104億8000万円)に達した。前年比で21%の増加で、日本以上の輸出額となっている。

韓国産イチゴの輸出が伸びていることについて、『朝鮮日報』は「これまで日本品種に依存せざるを得なかった状況が、韓国独自の品種開発を加速させた。その結果、2005年に誕生した“ソルヒャン”が、国内のイチゴ農家から日本品種を駆逐した」と誇った。

これはどういうことだろうか。

イチゴ
(写真=Pexels)

2015年に報じられた「韓国産イチゴ、日本産イチゴに痛快な逆転勝ち」(『TV朝鮮』)という記事が参考になる。

それによると、韓国では1970年代から本格的にイチゴの栽培が始まり、当時は日本の品種が大部分だったという。「韓国国内のイチゴ農家の86%が日本の品種を使っていた」が、その流れは2005年まで。ロイヤリティー(栽培料)の問題が生じたからだ。

当時、日本が要求したロイヤリティーは31億ウォン(約3億3000万円)だったとのこと。しかし「ロイヤリティーの問題が生じたが、そのとき韓国の技術で誕生した“ソルヒャン”が解決士の役割をした」というのだ。

『朝鮮日報』も「ソルヒャン(雪香)」という名前を挙げていたように、“韓国イチゴ史”において、欠かせないイチゴの品種といえるだろう。

「ソルヒャン」を生み出したのは、キム・テイルという農学博士だ。『世界日報』によれば、キム博士は「日本の品種を無断で栽培していた(韓国)国内の農業現場では、国産化が急務だった」なかで、試行錯誤の末に「ソルヒャン」を開発したという。

だが、韓国の農業専門紙『園芸産業新聞』によると、その「ソルヒャン」も日本の品種である「章姫」と「レッドパール」を交配して作った品種だというのだ。

『聯合ニュース』も「同年(2005年)に日本の品種“章姫”と“レッドパール”を交配して開発した品種の“ソルヒャン”が、国産の普及率アップに大きな役割を果たしたと農村振興庁は説明している」と報じている。

その「ソルヒャン」が日本のロイヤリティー問題を解決したという点には、どこか腑に落ちない部分もあるのは事実だ。

現在では「ソルヒャン」の次代のイチゴが韓国産イチゴの輸出を担っている。

韓国産イチゴの輸出額の76%を占めている慶尚南道・晋州(チンジュ)市は12月8日、タイをはじめとする東南アジア地域に来る12月30日までに「クムシル」90トンを輸出すると発表した。

この「クムシル」は、「ソルヒャン」と「メヒャン」を交配して開発されたイチゴの品種だ。「大切な子供のように貴重なイチゴ」という意味を込めて名付けられたという。

いずれにしても韓国産イチゴは現在、日本よりも多くの国に輸出されており、「痛快な逆転勝ち」を収めている。

(文=サーチコリアニュース編集部O)

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