「私たちの先祖の国籍は日本」と語ったキム長官vs“非尹派”ユ元議員…韓国与党の次期大統領選候補の行方

2025年02月12日 政治 #時事ジャーナル
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韓国で「12・3非常戒厳」後に分散していた保守支持層が結集し始めているなか、彼らの支持は親尹錫悦(ユン・ソンニョル)派の次期大統領候補者に集中する様相を呈している。

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戒厳令の違憲性を否定し、「野党の暴走」を批判したキム・ムンス雇用労働部長官が、有力な与党の大統領候補として浮上した。

しかし、韓国の「保守の民意」を親尹派が一手に代表しているわけではないとの見方も少なくない。

「尹錫悦・李在明(イ・ジェミョン)の二極体制」を同時に批判する非尹派候補の支持基盤も無視できないためだ。

実際、保守系大統領候補の中でユ・スンミン元議員が支持率2位を記録したとの世論調査結果も発表された。民意と党内意向の間で、与党「国民の力」の選挙ルールによって早期大統領選レースの構図が変わる可能性がある。

親尹から外れたユ・スンミン、支持率上昇

尹大統領が「内乱の首謀者」の容疑で拘束され、裁判にかけられたものの、与党内における「尹心(尹大統領の意向)」の影響力はむしろ強まる雰囲気だ。

親尹派の双頭であるクォン・ソンドン、クォン・ヨンセの両氏が党指導部を掌握するなか、大統領弾劾や内乱容疑に反対する「党内の意思」も急速に結集し始めた。親尹派の大統領候補たちの勢いも、それに伴い増している。

特に、「極右の非主流派候補」と見なされていたキム・ムンス長官が、事実上の有力大統領候補として言及されるようになっている。

キム長官は2月6~7日にリアルメーターが実施した汎保守圏の大統領候補適格度調査(信頼水準95%、誤差範囲±3.1ポイント、回答率8.4%、中央選挙世論調査審議委員会参照)で、25.1%の支持率を記録し、1位となった。

他の世論調査でも同様の傾向が続いている。1月31日~2月1日に韓国ギャラップが『世界日報』の依頼で実施した「国民の力の大統領候補支持度」世論調査(信頼水準95%、誤差範囲±3.1ポイント、回答率14.8%、中央選挙世論調査審議委員会参照)でも、キム長官は17%の支持を獲得し、1位だった。

キム・ムンス長官
(写真=時事ジャーナル)キム・ムンス長官

「親尹派の躍進」や「キム・ムンスの大勢論」が強硬保守の有権者が作り出した錯覚だと断じるには、世論調査の結果が一貫しているといえる。

しかし、世論調査には特徴的な点も見られる。強硬保守層がキム長官に「圧倒的な支持」を送る一方で、汎保守・中道層まで含めた世論では非尹派候補も躍進しているのだ。

現に、キム長官が1位を記録した世論調査で、その後に続いたのは非尹派のユ・スンミン元議員だった。ユ元議員は、リアルメーターの調査では11.1%の支持率で2位を記録し、韓国ギャラップの調査では17%を獲得してキム長官と並んで1位となった。

もちろん、この結果は支持政党や政治的志向を区別しない全国民対象の世論調査であり、「国民の力」支持層に限定すれば、両者の支持率の差は大きく開く。 韓国ギャラップの調査では、自身の政治的志向を「保守」と回答した層のうち、キム長官は31%の支持を得たのに対し、ユ元議員は6%にとどまった。リアルメーターの調査でも、保守層のキム長官支持率は45%で、ユ元議員(5.1%)を大きく上回っている。

割れる保守・中道の民意…与党「予備選ルール」がカギ

結局のところ、こうした民意の流れは3つに要約される。 ①キム・ムンス長官が保守層から強力な支持を得ているのは事実であり、②「反李在明、親尹錫悦」の民意も少なくないが、③進歩(リベラル)や中道を取り込む拡張性の観点ではユ・スンミン元議員が同等、あるいはそれ以上の競争力を持っている、ということだ。

もし、このような民意の流れの中で尹大統領が弾劾され、すぐに大統領選が始まるとすれば、与党内ではこの2人が出馬するかどうかが最大の関心事となるだろう。しかし、現時点ではキム長官に有利な展開になるとの見方が支配的だ。

これは、現行の「国民の力」の大統領選予備選ルールにおいて、「党内の意向(党員投票)」が候補選びに大きな影響を与えるためだ。

現行ルールでは、「党内の意向」と「国民の意向(一般国民の世論調査)」を50%ずつ反映して最終候補を決定することになっている。しかし、一般国民を対象とした世論調査で「逆選択防止(野党支持者の参加制限)」が実施されれば、「保守性向の有権者」の意見がより多く反映される可能性が高い。

ユ・スンミン元議員
(写真=ユ・スンミン元議員Facebook)

政治評論家のパク・サンビョン氏は、「党内の勢力が二分されていれば、非尹派が“パワーゲーム”を繰り広げる余地もあるが、現在の与党は親尹派が完全に掌握している」と指摘し、「早期大統領選が実施されれば、親尹派指導部が選挙プランを主導するだろう。そのため、非尹派にチャンスを与えるような予備選ルールが新たに作られることはないと考えられる」との見解を示した。

しかし、「本選のカギを握るのは中道層だ」という点を考慮すれば、予備選ルールを決定する「国民の力」の指導部も容易には決断できないとの見方もある。

与党指導部出身の関係者は「大統領選は“保守の人気投票”ではない。結局、どちらがより多くの中道民意を獲得するかの戦いだ」と述べ、「早期大統領選が実施されるかどうかは断言できないが、もし、その状況になれば、指導部の判断も難しくなるだろう」と語った。

また、「国民の力」のキム・サンウク議員は、2月4日のCBSラジオ番組で、「大統領選では、強硬支持層が両陣営で結集するため、結果的には中道層が勝敗を決することになる」と指摘。そのうえで、「中道層が非常戒厳を擁護し、大統領弾劾に反対した人物に票を投じるだろうか」と反問した。

さらに、「保守の理念を超え、進歩の理念まで包み込める人物こそが、中道層を合理的に説得できる」とし、「しかし、キム・ムンス雇用労働部長官やホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長にそれができるだろうか」と疑問を呈した。

そして、「結局、保守陣営で中道層を取り込める選択肢は、ハン・ドンフン前代表、オ・セフンソウル市長、ユ・スンミン元議員くらいしか見当たらない」との見解を示した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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