強硬な保守派であり極右的な傾向を持つとされる高市早苗・前経済安全保障担当相が、自民党初の女性総裁に選出された。
日本初の「女性首相」就任を目前に控えた高市新総裁の今後の政権運営方針をめぐり、韓国やアメリカなど周辺国も注視する構えだ。
靖国神社の定期参拝など外交問題を巡る論争があることから、改善ムードにあった日韓関係が再び波乱含みになるとの見方も出ている。
高市総裁は10月4日、東京・自民党本部で行われた第29代総裁選の決選投票で、ライバルの小泉進次郎農林水産相を破り、劇的な勝利を収めた。世論調査による当初の予想に反して、高市氏は国会議員票と47都道府県連代表票を合わせて計185票を獲得し、156票にとどまった小泉氏を29票差で下した。
昨年の総裁選の決選で石破茂首相に敗れ、党のトップの座を逃してからわずか1年での逆転劇だった。
日本政界では、「強い日本」や「憲法改正」といった明確なメッセージを打ち出し、党員の保守的な支持層を引き寄せたことが勝因との評価が出ている。特に、決選投票で勝敗を分けた国会議員票で、党内に強い影響力を持つ“キングメーカー”麻生太郎元首相の支援を得たことが大きかったとされる。
高市総裁は、10月15日に召集される臨時国会で首相指名選挙を経て、第103代日本首相として正式に就任する予定だ。自民党が衆議院で第一党の地位にあり、野党が分裂している現状を踏まえると、首相就任はほぼ確実とみられる。
高市氏は「自民党の新しい時代を開く」とし、「多くの方の不安を希望に変える党、すべての世代が力を合わせる党をつくる。常に国益を最優先に国政にあたる」と意欲を示した。
高市氏の当選は、日本政治史において一つの画期的な出来事とみなされている。彼女は日本政界では珍しい「非主流派」出身であり、いまだに女性の“ガラスの天井”が根強く残るなかでの快挙だからだ。
1961年に奈良県でごく普通の会社員家庭に生まれ、政治的な地盤を持たなかった高市氏は、神戸大学卒業後、政治リーダー育成機関「松下政経塾」で学び、政界進出前はテレビ朝日のキャスターとして活動し、知名度を高めた。
1993年、政治的支援基盤がないまま無所属で衆議院選挙に立候補し、初当選を果たした。1996年に自民党へ入党し、故・安倍晋三元首相のもとで成長。安倍氏が率いた党内最大派閥「清和政策研究会(安倍派)」で政治基盤を固めた。
安倍氏もまた、高市氏を政治的後継者として重視し、総務相や経済安全保障担当相など主要閣僚ポストを歴任させた。この頃から彼女には「女版・安倍」との異名がつくようになった。
今後、高市総裁は首相就任後も“安倍路線”を積極的に継承するとみられる。
「強い日本」を掲げ、経済・安全保障・外交を戦略的に統合する構想を描いており、経済政策ではアベノミクスの拡張版として、経済安全保障を最優先に据えた“サナエノミクス”を打ち出している。AI(人工知能)や半導体など、国際競争の要となる先端産業育成のため、赤字国債の発行も容認する姿勢を見せている。
また、アメリカとの通商政策でも国益を最優先とする立場を明確にし、既存の合意を見直す可能性も示唆した。総裁当選後の演説で高市氏は、日本がアメリカに5500億ドル(約81兆円)規模の資金を投資する協定について「両国間で合意した事項は尊重する」としつつも、「日本の国益を損なう事態が生じた場合は、日米協議の枠組みの中でしっかり主張すべきだ」と述べた。
先月の討論会でも「国益を害する不平等な構造があるなら再協議を求めるべきだ」と再交渉の可能性を明言していた。
外交・安全保障政策でも、安倍元首相と同様に強硬な立場を取るとみられる。具体的には、平和憲法第9条を改正し、自衛隊の存在を憲法に明記して軍としての法的地位を確立する方針を掲げている。
また、防衛予算をGDPの2%以上に拡大し、北朝鮮の核脅威などに対応できる体制を整えると約束した。外交面では、日米関係を軍事同盟にとどめず、経済・技術・価値観などあらゆる分野で強化する一方で、中国や北朝鮮に対しては対立も辞さない構えを見せている。
韓国との間でも、さまざまな懸案をめぐって摩擦が生じる可能性が高い。
高市氏は、太平洋戦争のA級戦犯が合祀された靖国神社をためらいなく参拝してきた人物で、韓国国内では典型的な極右政治家として知られている。彼女は当選直後、「(靖国神社の)慰霊のあり方については、適切な時期に適切に判断する」と述べつつも、「靖国神社は戦没者慰霊の中心施設であり、平和の象徴だ。外交問題にすべきではない」と明言した。
もし高市氏が首相として靖国神社を参拝すれば、2013年の安倍元首相以来12年ぶりのこととなる。また、歴史認識問題や竹島(=独島)領有権問題をめぐっても、日韓間の緊張が高まる可能性がある。
石破政権と李在明(イ・ジェミョン)政権が進めてきた「シャトル外交」復元の努力が水泡に帰すおそれもある。
一方で、北朝鮮・中国・ロシアの3国が「新冷戦体制」を背景に連携を強めている現状を踏まえると、高市氏も戦略的に「北朝鮮制裁」など共通の目標を掲げ、韓国との協調を維持しつつ、日米韓3カ国の連携体制を強化する可能性があるとの分析も出ている。
(記事提供=時事ジャーナル)
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