韓国の文在寅大統領が3月22~24日にベトナムを訪問する。
そんななか韓国・青瓦台(大統領府)ホームページに、ベトナム戦争の虐殺に関する“国民請願”が多数上がり、注目を集めている。国民請願とは、韓国国民がオンラインで韓国政府に希望を申し出ることができるサービスだ。
実際に青瓦台のホームページを確認してみると、「ベトナム戦争、真相調査と被害補償」「ベトナム民間人虐殺、政府による謝罪と反省」「ベトナムに謝罪を」「大統領、必ず謝罪をお願いします」といったタイトルの国民請願が続いているのだ。
1960年代のベトナム戦争に参戦した韓国軍は、1万人以上の民間人を虐殺したとされている。文大統領のベトナム訪問の際、公式謝罪すべきと要求しているわけだ。
韓国メディアもこの現象に注目しているようで、「国民請願“ベトナム戦争虐殺、謝罪してくれ”文大統領、ベトナム訪問のニュースに」(『ニュース1』)などと報じられている。
ある請願の「概要」を見てみると、「ベトナム戦争で私たち韓国軍が犯した民間人虐殺事件をベトナム当局、そして被害者たちとともに真相究明し、謝罪と反省、また補償しなければならないと思う」と書かれていた。
何よりも見逃せないのが、「自分たちの行いの謝罪と反省なく、日本に過去の歴史の反省や謝罪、元慰安婦たちに対する謝罪を要求できますか」と、日本を絡めていることだろう。
つまるところ、日本へ謝罪を要求するためにも「まずは自分たちが」という論調なのだ。
韓国ネット民たちも以下のように、何かと日本を絡めた反応を示している。
「私たちが日本や中国のような無知な国家ではなく、正常な国家であることを見せるためにも必要な行動だと思う」
「日本に謝罪を要求するのであれば、私たちが先にベトナムに謝罪するべきだ」
「日本が韓国を見習うようにしよう」
といったコメントが多くの共感を集めていた。
一方で、「日本の植民地時代とベトナム戦争は性格がまったく違う状況だ」「韓国はすでにベトナムに謝罪しているだろ」といった意見も。
文在寅大統領は以前、「韓国はベトナムに心の借りがある」としたことがある。韓国ではそれを謝罪と報じるメディアもあるが、批判するメディアもあり、見解が分かれている。
いずれにしても韓国の国民請願は1件の請願に対して、30日間で20万人以上の署名が集まった場合は、長官や首席秘書官を含む政府関係者が正式な回答を示さなければならない。
ただ、青瓦台ホームページにはいくつも「ベトナムに謝罪すべき」という主旨の国民請願は上がっているものの、3月20日現在、最も多いものですら署名数は500人強に過ぎない。20万人以上の署名を集めることは難しそうだ。
今回の文在寅大統領のベトナム訪問で何か変化があるのか、注目したい。
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