韓国の医大生が授業を拒否し、続々と兵役のために入隊している。その数は今年だけで1000人を超えた。
10月8日、国会・教育委員会に所属するチン・ソンミン議員が教育部から受け取った「全国の国立・私立医大における軍休学許可人数」によると、9月23日現在、全国37校の医科大学(医学部)で1059人が兵役のために休学の許可を受けたことがわかった。
この集計は、医科大学を運営する40校のうち資料を提出しなかった3校を除いた結果だ。
入隊を理由に休学をした医大生は、2021年116人、2022年138人、2023年162人と、過去3年間は100人台だったが、今年は1000人を超えており、前年比6.5倍に急増したことが確認された。1059人の内訳は、国立大学358人、私立大学701人となっている。
なぜ入隊する医大生が今年になって急増しているのだろうか。
それは韓国政府による「医大定員増加政策」が関係している。今年2月、韓国政府は医師不足解消に向け、大学医学部の入学定員(現在3058人)を2025学年度の入試から5年間にわたって毎年度2000人増やすことを発表した。OECD加盟国と比べて、韓国は医師の数が少ないためというのが主な理由だった。
これに対して、韓国医師協会は反対し続けている。
政府の政策に強く反対して研修医が集団で辞表を提出し、大手病院の医学部教授らも研修医らの主張を支持するため辞表を提出するなど、韓国医療界で混乱が続いた。その結果、きちんと診療が受けられない人が増え、救急搬送されても手術が受けられずに患者が死亡した事例まで報じられている。
学生たちも立場は同じで、2月の「医大定員増加政策」以降、休学届を提出したまま9カ月にわたって授業を拒否している状況だ。教育部によると、名門・ソウル大学を除く8つの国立大学の医学部で、2024年の休学申請者4346人のうち4325人(93.1%)の休学処理が保留された状態だという。
そんな授業も受けられない状況であるため、多くの医大生が「それなら兵役の義務を果たしてしまおう」と考えたと見られる。
チン・ソンミン議員は「ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権の医大定員増加政策により、医大ではなく軍隊を選ぶ学生が平年に比べて7倍以上大幅に増加した」と述べ、「政府は条件付きで休学を承認するのではなく、医学生たちと無条件で対話を行うべきだ」と声を上げた。
韓国における政府と医療界の対立は、いつまで続くのだろうか。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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