“トップ外交不能状態”で日韓国交正常化60周年の新年を迎えた日本と韓国、挑戦と課題は?

2025年01月01日 国際 #時事ジャーナル
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日韓国交正常化60周年を迎える2025年は、少し特別な年になると期待されていた。

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2023年3月、韓国政府が元徴用工問題に関する韓国最高裁の判決を受けた問題の解決策を提示し、日韓関係に大きな転換点が訪れたことで、60周年を契機にさらなる進展が期待されていたからだ。

両国政府は「日韓国交正常化60周年準備タスクフォース(TF)」を結成し、民間でも多様なイベント、会議、提言書の発刊などを積極的に準備していた。

たとえ歴史問題や福島汚染水放出、佐渡金山の追悼式など、未解決の多くの課題や新たな対立の火種が存在していたとしても、両国はこれらの問題を最大限に管理し、新たな未来に向けた努力を続けていた。

しかし、祝砲を上げるのが早すぎたのだろうか。期待と興奮に包まれるはずだった2025年は、日韓両国の「国内政治の不安定」という予期せぬ壁に直面することとなった。

その始まりは、2024年8月の岸田文雄首相による次期自民党総裁選不出馬の宣言だった。

支持率の低迷が続くなか、自民党の政治資金スキャンダルなどが重なり、苦境に立たされていた岸田内閣は、最終的に退陣し、石破内閣が新たに発足した。幸いにも、過去に韓国を理解する発言をしたことのある石破茂首相の誕生だったため、韓国の期待は高まった。

日韓の国内政治が生む不確実性

尹錫悦大統領と石破茂首相
(写真=韓国大統領室)尹錫悦大統領と石破茂首相

しかし石破首相の党内での弱い支持基盤と低い支持率を考えると、彼が韓国の期待に応える可能性は高くない。

さらに、2025年夏には参議院選挙が予定されている。2024年10月の衆議院選挙で惨敗した石破首相にとって、少数与党のリーダーとしての責任は重く、次の選挙で再び敗北することは、与党の地位を失うほど致命的だ。

実際、石破内閣が参議院選挙まで持続できるかすら、現時点では予測が難しい。しかし、仮に石破内閣が存続した場合、2015年の終戦70周年を記念して発表された安倍談話を超える80周年談話を発表する可能性にも注目される。

謝罪を「次世代に引き継がない」とした安倍談話は、日本社会の遺産として現在にまで影響を与えているからだ。

こうした状況の中で、韓国の国内政治も不確実性が増している。

12月3日の戒厳事態以降、韓国も国内的な混乱が続いている。今後の状況を予測するのは難しいが、日韓両国の国内政治的な変化に伴う対外政策の変化を無視することはできないし、少なくとも、日韓関係改善の大きな転機を作った尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田前首相が築いた信頼に匹敵する信頼を両国首脳間で再構築するには、相当な時間がかかると見られる。

さらに、トランプ第2期政権の誕生が、また別の要因となる。バイデン政権で重視されていた価値観外交や同盟国との関係は後回しにされ、実利を中心とした外交と経済的損益計算が優先されるだろう。

日韓両国は、安全保障だけでなく、経済、科学技術、文化、人材交流など多くの分野で日米韓協力の実利を証明する必要に迫られるかもしれない。こうした状況を踏まえると、尹錫悦・岸田・バイデンの三首脳が築いたキャンプ・デービッド精神が継続されるかどうかも不透明だ。

もともと、日米韓関係における「最も弱い環」(weakest link)とされる日韓関係だが、トランプ第1期政権時代も日韓対立を緩和するためのアメリカの仲裁や関与は際立ったものではなかった。

このように、両国の国内政治の不安定さと、トランプ時代における新たな日米韓関係という不確実性の中で、日韓関係は新たな挑戦に直面している。

日韓関係の改善と発展に対する両国の広範な目標は変わらないため、2025年の日韓国交正常化60周年を記念する努力は続くだろう。しかし、その原動力が弱まっていることは明らかだ。

それでも、落胆ばかりしているわけにはいかない。現在の日韓両国が直面している状況は決して容易ではないのだから。

光復・終戦80周年、日韓国交正常化60周年の重み

2025年は、日韓国交正常化60周年であると同時に、光復80周年であり、終戦80周年でもある。

戦争の時代を経て現在に至ったとはいえ、依然として高度化する北朝鮮の核能力や持続的な挑発に脅かされている。また、近くはロシア・ウクライナ戦争、遠くはイスラエル・ハマス戦争が発生している。

世界各地で起こる衝突がもたらす直接的・間接的な被害や影響を過小評価することはできない。

特に、最近の北朝鮮の参戦は朝鮮半島の安全保障を不安定化させる可能性が高い。さらに、米中競争の過熱の中で、経済安全保障、技術安全保障、サイバー空間における協力など、新たな課題への挑戦も続いている。

つまり、時間と空間の境界が崩れ、多くの韓国国民が世界各地でこれらの脅威にさらされ、絶えず試練に直面している。このような状況の中で、価値と利益を共有する日韓協力の重要性は一層高まっている。

したがって、現在の国内政治的な不安定さのなかでも、未来に向けた準備を怠ることはできない。

人の年齢で言えば、「60」は、還暦を意味する。これは、六十甲子の一巡を終え、元の位置に戻ることを指し、一つの周期の完成であると同時に新たな始まりを意味する。

振り返ってみると、この60年間で日韓関係が順調だった時期はほとんどなかった。両国は対立と協力を繰り返しながら現在に至り、多くの困難を克服しようと努力してきた。その推進力を担ってきたのは、時に政府であり、時に民間だった。

特に政府間の外交が困難なときに輝いたのは、民間の協力や民官の協力だった。政府間の外交が機能しにくくなった今こそ、両国の架け橋となれるオピニオンリーダーや専門家の役割が重要だ。

混乱する国内政治の中で、両国の利益と立場を正確に伝え、発展的な未来を築く基盤を整えるための社会的責任と役割が求められている。このような努力を通じて、これまで築き上げてきたものを維持・発展させ、次の60年を準備し、より成熟した日韓関係へと進むべきだ。

(記事提供=時事ジャーナル)

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