韓国の“3大イチゴ産地”のひとつである全羅南道・潭陽(タミャン)のイチゴが、今年初の輸出に踏み切った。
潭陽郡は1月16日、ポンサン農協産地流通センターで初の積載式を行い、イチゴ256kgをベトナムに輸出した。
潭陽郡は、イチゴ輸出拡大のため輸出検疫団地の指定を完了し、今年4月まで日本、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、カナダの6カ国・地域へ、週1回の輸出を計画している。
潭陽のプレミアムイチゴは、独自開発された品種「チュクヒャン(竹郷)」だ。可楽(カラク)市場の卸価格で1kgあたり3万8363ウォン(約4100円、特等級、1月14日基準)を記録し、最高価格を更新するなど評価が高い。
そんな「チュクヒャン」の誕生には、日本の影響があったことをご存じだろうか。
もともと韓国では1970年代からイチゴの栽培が本格的に始まった。当時栽培されたイチゴは、90%が日本の品種だった。
しかし、その流れは2005年までだ。ロイヤリティ(栽培料)の問題が生じたからだ。2006年以降、年間最大300億ウォン(約32億円)ものロイヤリティが、日本に支払われる状況となり、イチゴの「国産化」が急務となった。
そんななかで有名なところでは、「ソルヒャン(雪香)」が誕生した。現在、韓国のイチゴ市場でトップシェアの人気品種だ。ただ、国産化といっても「ソルヒャン」は「日本の品種“章姫”と“レッドパール”を交配して開発した品種」(『聯合ニュース』)とのことだ。
イチゴの国産化が進んだことで、韓国における国産イチゴの普及率は、2005年の9.3%から2010年に61.1%まで上昇。韓国農村振興庁によると、その数字は2021年には96.3%となっており、韓国市場で日本品種のイチゴはほぼ消えたといえる。
日本の品種から脱却して国産化を図る流れのなかで、潭陽郡は2012年に「チュクヒャン」を育成し、2014年に品種登録を完了させたのだった。
潭陽の関係者は、とあるインタビューで「イチゴは品種保護対象作物に指定されており、日本などにロイヤリティを支払うことで、農家に大きな負担を強いてきた作物だった。しかし、世界最高品質のイチゴ品種を育成・普及することで、逆に海外の先進国からロイヤリティを受け取るイチゴ強国として浮上するきっかけをつかんだ」と胸を張っている。
そんな潭陽の「チュクヒャン」は、国内市場で品質の高さや糖度の面で高い評価を受けるだけでなく、2018年からベトナム、香港、タイ、シンガポール、アメリカなど世界各地に約100トンを輸出してきた。
また、2024年12月にはフランスの「アンジェ(Angier)」と業務協約を締結し、フランス、ケニア、インドネシアなどにイチゴの苗を輸出してロイヤリティを得ている。
イ・ビョンノ郡守は「世界的な韓流ブームを背景に、潭陽イチゴのグローバル化を推進するため、海外輸出を積極的に支援していく」と述べた。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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