ここ数年、韓国人観光客が楽しむ海外旅行の行き先といえば、日本が圧倒的に1位だが、そのトレンドが変わるかもしれない。
昨年、日本を訪れた韓国人観光客は、日本政府観光局によると前年比26.7%増の881万7800人で、過去最高だった。今年1月も96万7100人が日本を訪れており、単月として過去最多だ。
しかし2月に入って、変化の兆しが見えているという。
韓国の大手旅行会社ハナツアーによると、今年2月の地域別海外パッケージ商品で日本旅行の割合は23.7%で、1月(28.9%)と比べて5.2ポイント減少。1年前と比較すると4.2ポイント減少している。
また、別の旅行会社モドゥツアーでも2月の日本旅行の割合(20.1%)が昨年2月(22%)より約2ポイント減少したことが明らかになった。
なぜ日本旅行を選ぶ韓国人観光客が減りつつあるのか。大手旅行プラットフォーム「ヨギオテ」が2月14日に行ったアンケート調査で、回答者の97.8%が「今年も日本旅行に行きたい」と答えているだけに、日本のイメージダウンなどが原因ではないだろう。
その原因は、長らく続いた「円安」が終わりつつあるからとの見方が強い。
実際、日本の利上げ期待が広がるなか、ウォン・円の為替レートが100円=1000ウォンに近づいている。
ハナ銀行の為替公示によると、3月10日15時半時点で、銀行窓口などで優遇為替レートを適用せずに現金を購入する際のウォン・円為替レートが100円=1001.30ウォンで取引を終えた。ウォン・円為替レートが1000ウォンを超えたのは、2022年3月以来3年ぶりだ。
少なくとも、一時、100円=850ウォンだった「超円安」状態は終息したとみられる。
そんな変化の兆しを受け、韓国の旅行会社は最近、中国パッケージツアー商品の強化に乗り出している。
韓国法務部によると、2024年11月から2025年1月までに中国へ出国した韓国人は64万7901人に上る。前年同時期(40万3470人)と比べて60.6%も増加しているのだ。旅行業界では、ビザなしでの渡航が可能になったことが、中国旅行の増加の大きな要因とみている。
日本旅行から中国旅行へと変化の兆しが見えているわけだが、その転換が上手くいくかどうか疑問視する声もある。というのは、特に韓国の若年層で中国の好感度が低いからだ。
韓国ギャラップが2023年2月に実施した「韓国人が好きな国・嫌いな国・生まれ変わったら住みたい国」に関する世論調査によると、20~30代の44%が「最も嫌いな国」として中国を挙げた。この割合は上の世代より10~20ポイントほど高かった。
そのため、韓国のオンライン上でも「100円=1500ウォンでも日本旅行に行くよ」「金額の問題ではない。中国には行かない」「中国に行くのは年配の人だけではないか?」といった反応が寄せられた。
はたして韓国人観光客のトレンドに変化は起こるのか。今後の展開が注目される。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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